たろう "ハンチバック" 2026年6月17日

たろう
たろう
@Taro1998
2026年6月17日
ハンチバック
ハンチバック
市川沙央
ヒコロヒー×西加奈子×朝井リョウの『仮説の仮説 #4』で言及があったので読んでみた。 体力を必要とせず、多くの人に開かれた趣味だと思っていた読書が、身体障害者にとっては「マッチョな趣味」になってしまうという指摘にはたしかに頷かされた。 先天性ミオパチーで身体が自由に動かせない主人公は、紙の本は手触りが良いとか物質感があるとかそういう嗜好的な理由で、電子書籍の普及を拒んできた出版業界と読書好き達への批判を口にする。 一方でこの作品は、弱者として見られがちな障害者の立場も状況によっては強者(加害側)に転ずる可能性があることを描くことで、結果的に障害者=弱者のレッテルを剥がそうと試みていると思われる。 それは介護される側(弱者)である主人公と、介護する側(強者)である田中さんの関係性が、主人公が親の遺産で建てたグループホームに住み、田中さんを雇用しているという状況に視点を合わせると、一気に雇用主(強者)と労働者(弱者)の関係性に逆転することからも明らかである。もちろん物語の後半で現れる性的に搾取する側(強者)と搾取される側(弱者)の描写も関係性の転換を象徴的に表していると思う。 何回も読み返すことで、自分の中の気づいていない思い込みや差別意識に気付かされる小説だと思った。
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