碧星宮アイオ "盗む鳥、死の犬" 2026年6月18日

盗む鳥、死の犬
X(Twitter)にて神話学者の方がポストしており、興味をもって購入。 しかし半分くらい一気には読んだあたりで、「思ってたのと違う」「私が欲しかった情報はたぶんこれじゃない」と思った。一番の要因はあらましは知っている神話が多く、そこを超えなかったと感じたからだと思う。 私自身がこういった、神話や歴史を論じたり解説したりする一般書を読み慣れていないからかもしれないが、何をもってこの記述を「妥当」と判断したら良いのか?巷にはびこるいわゆる「考察」とどう違うのか?とも思ってしまった。 主旨とは関係ないが、個人的に一番違和感を覚えたのは蛇の章の冒頭、「蛇は、人間になつかないという。なつくほどの知能がないということらしい」という箇所。端的に書かなければならないのはわかるが、神話よりもむしろ動物の分野をかじっている身なので首を傾げた。 野生個体はそうだろうし、飼ってる人達も概ね「なつくよりは慣れる」とは言うものの、飼育個体によってはある程度「飼い主」を認識して取っているような行動も度々目にしているため、「そうかな……?」と思った。何より動物の「知性」「賢さ」については、ヒトのそれを含めて「何をもって『賢い』とするか?」からその道の専門家が議論し直している最中だし、それを「強いから知能がいらなかった」と言い切られるのは……と、いろんな違和感が先に立ってしまって内容が頭に入らなかった(蛇の章を楽しみにしていたがゆえに、より一層落差が激しかったのかもしれない)。 サファリの熊についてのあとがきのエピソードと相まって、「この人の『動物が好き』や生き物に対するとらえ方、距離の測り方は、私のそれと違うのかもしれない」と思った。通ぶって冷笑したがる、中途半端なオタクの悪い仕草かもしれないが。 もちろんこれは私個人の感想であり、受け取り方は読む方によって様々だと思う。きっかけをつかむにはボリュームも価格もちょうどいいし、装丁は非常に美しいです。派手な絵と扇動的なタイトルで『超・神話生物頂上決戦!』とか、『神話に隠された恐ろしい真実!』とか気を引く薄っぺらい本より断然良い。この本に述べられなかったものも含め、神話学、あるいは個々の神話への理解を深める足がかりとなればいいと思う。
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