ひゃらりこ "新幹線から見えたすき家へカレ..." 2026年6月18日

新幹線から見えたすき家へカレーを食べに行く
5月末日読了 スズキナオさんの新刊である。1003ではサイン入りが手に入る。ナオさんのサインに登場するおなじみの自画像は両目が「な」「お」になっている。ここでいつも気になるのはその下の鼻と口の部分だ。鼻と口がいつもひらがなの「こ」に見える。サインの中でナオさんは「なおこ」なのだろうか?いや違うだろう。と思いつつ、いつもご本人に(トークイベントでお会いできたのに)聞けずにいる。 先日、ナオさんがトークイベントでご自分が書くものには大きく分けて2種類あって、一つは人がまだやってない面白そうなことをやってみること、もう一つは気になったお店や場所にいる人に話を聞くことだ、とおっしゃっていた。なるほど100バス(神戸くまえもんさん命名)でもこの本でもその二つが良い塩梅で読めるようになっている。 まずタイトルに「わっ」と思う。電車や車の窓から見えた店に行ってみたいと誰しも思うだろうが、ナオさんはそれをほんとに実行してしまう。「かき広」しかり。実行して行ってみて、その先がナオさんならではの展開になる。 すき家では人には出会わないが、一人で知らない街をぶらぶらする時の楽しさがじわじわ伝わってくる。知らない何にもない町が親しみの持てる町になり最後はなんと「みうらじゅん展」に行きつく。このなんてことない一日の面白さ! お店にはいって、そのお店の人に話を聞く場面もナオさんならでは。ナオさんは「この店面白いでしょう。私が見つけたんでっせ!」と自慢するような素振りや「ライターが取材して記事にしてやったから人気がでまっせ!」的なところが一切ない。そのお店に行ってそこが気に入り、そこにいる人にひたすら淡々と話を聞く。だから読者もナオさんと一緒にその人と本の中で出会えるのだ。「ブスの店 杏」のママさんの話は圧巻だった。 これもトークイベントで、「最後に『ウドンド』を持ってきたことで、これから先のことを考えた」とおっしゃっていた。なくなるものを惜しむ気持ちはもちろん大切だが、この先の未来にどんなことができるかを示してくれる場もある。そういう場の可能性や面白さにもナオさんの目は向けられる。ナオさんは単に古いもの好きで昔を懐かしむだけの人ではない。 一つ一つの章について語りたいことが山ほどあり、個人的に思い入れの強い章も一つや二つではない。たぶん私だけでなく誰しもそういう気持ちになる一冊。
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