
チョム
@abb_20260521
2026年9月4日
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
町田そのこ
読み終わった
再読した
淡い色の魚とおいしそうな名前の題、読んだことはないけれど本屋大賞を受賞したということだけは知っている『52ヘルツのくじらたち』の著者、そのデビュー作がR-18文学賞受賞作であるというだけでちょっとだけ敬遠していたけれど、表紙と題でまあ一度読んでみようかなという気になった。結果、もっとはやく出合っていてもよかったなと思った。
水槽みたいな街で、それぞれの息のしかたを探して生きているひとびと、かれらの生きる世界が重なって、離れて、また重なって、その繰り返しで。わたしの人生もきっとそういうものなんだろうなと感じた。けれどわたしはかれらのように苦労したことはないので、きっとほんとうの意味でかれらのことを理解ることはないのだろうなとも思う。
「カメルーンの青い魚」と「波間に浮かぶイエロー」の仕掛けには、ふだん読むミステリと同じくらいドキッとする衝撃があったけれど、そこに秘められた優しさと愛おしさとほんのり感じる切なさに、読者にそれを隠していた・こういう仕掛けにした効果を食らったなという実感があった。
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「場所さえ変えればりゅうちゃんは息がしやすくなっただろうに、りゅうちゃんはこの街にいた。」(p14)
「りゅうちゃんは、ここで必死にヒレを動かして、生きてくれた。私の為に、苦しいのに一所懸命ヒレを動かしてた。」(p39)
「りゅうちゃんがここでどれだけ生き苦しそうにしていても、傍にいて欲しかった。同じ水の中にいれば、私は幸せに泳いでいられたの。」(p39)
「この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだよね。(中略)いちいち怖がってたら、生きていけない。あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない」(p99)
「あなたがわたしのことを一生想うんなら、わたしも一生覚えています。この世のどこかにわたしのことを好きなひとがいて、わたしのことをいまこの瞬間も想っているんだなあって。(中略)だから俺は、彼女が生きてる限り、生きていられる。」(p199-200)
「ねえ、誰か教えてください。場所だけじゃなかったんです。私は群も、無理なのです。(中略)ねえ、私は、どこが壊れているのでしょうか。」(p260)
「そしたらさ、両手に感じたんだ。どくどくと流れる血の流れを。こんな状態でも、命は必死に流れてる。(中略)欲しがっても手に入れられないものなのよ。どんなにボロボロでみっともなくても大切にしましょうよ、って。」(p310)

