カササギ "spring" 2026年6月20日

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恩田陸
“踊る人”、のお話 でもこれを踊りを観る側の人が言語化したのだろうから、やっぱり小説ってすごいなあと思う 読んでいる間ずっと姿勢を正していないといけない気がして…両手できちんと支えるべき本のように思えて、移動中に読む方が頭に入る方なのだが、珍しく部屋の中で全てを読み終えた クラシックよりコンテンポラリーの方が好きなので春が実在したならきっと私の大好きな踊り手だろうと思う 何より彼は美しい子どもだったらしいし…4章全て語り手が違うが、何故か私は稔さんを途中まで女性だと思い込んで読んでいた…そして、彼が一番好きな登場人物、一番気持ちがよく分かる感情移入し易いキャラクターだった、途中からこのお話の中心者、春を、甥っ子を応援する叔母のような気持ちで見守るようになっていった 確かにクラシック音楽やバレエの知識があるとより楽しめるのかもしれない 思い描くイメージがより鮮やかになるのかもしれない でも、知識で本を読むわけじゃない 頭の中で描くピースが増えていくようにここを起点に他のジャンルから知識を得た後に何度も読むことが出来る作品だと思えば、世界を広げてくれるとても素敵な本だと思う 何より、日本の古典にもちゃんと言及しているところが良い、これまで難しくて避けてきた能や風姿花伝もやはりトライしてみなきゃだなっていう気分にさせられる 印刷された文字の向こう側に 僅かで真っ白な余白の海に 膨らんでいく世界がある 文字を種として無限に広がっていく世界を眺めるような読書体験だった 終章は特に 春の贄の踊り、彼が踊る世界、彼の祈り、見えない聴こえないからこそ無限に拡がっていく空間がそこにあることを感じて、戦慄した “戦慄せしめよ” インパクトのあるこの言葉には鼓舞される 私も自分を応援したいときに使いたいなと思った そしてクラシック音楽のCDは幸い、ほぼ持っていないので、遅ればせながらこの小説の名を冠したCDを買うことにします
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