
たまご
@reading-egg
2026年6月19日

羊と鋼の森
宮下奈都
読んでる
図書館で借りた
ピアノの調律師の話ってことだけ知って読み始めた。確か、『船を編む』に出てきて気になった本だ。
冒頭、森の話から始まる。だから、『ピアノの森』を思い出した。ピアノ…というか、音楽って森と親和性があるんだろうか、などと思った。
なんというか、柔らかくて、音が立ち上がるような、繊細な文章。
「ピアノは一台ずつ顔のある個々の独立した楽器だけれど、大本のところでつながっている。たとえばラジオのように。どこかの曲が電波に乗せて送った言葉や音楽を、個々のアンテナがつかまえる。同じように、この世界にはありとあらゆるところに音楽が溶けていて、個々のピアノがそれを形にする。」
たしかに、調律すると、全てのピアノの音は一定に保たれるのだろう。それをこんなふうに表現するんだ。とても詩的だと思った。音楽が溶けているのか。
まだ序盤だけれど、主人公は、音を聴く才能があるんだろうと思う。
幼いころ、私も、調律師が来て作業を終えるのを、そばで見たことがある。調律が終わると弾いてみてと言われるのだけど、いったい何が変わったのかさっぱりわからない。ピアノの内部を観察できるのは楽しいけれど、たいした曲も弾けず、音の良し悪しも分からないことが恥ずかしいと感じる時間だった。
あの子の出す音がいい、胸を打った、と思えるのは、音に対してとても才能があると思う。

