羊と鋼の森

16件の記録
kasu.@11uyksm2025年10月28日読み終わった借りてきた単行本調律師のお話🎹 どの世界も極めようと思うと奥の深さに挫けそうになったり迷う時もあると思う。それを『森』に例えるなんて、なんて素敵なんだろう。 この作者さんの描く物語は表現が凄く綺麗で読んでいて胸がときめく。 作中に登場する原民喜の一節、私も好きになった。 【「こつこつと守って、こつこつとヒット・エンド・ランです」 「ホームランを狙ってはだめなんです」】(P.16) ピアノに触れてこなかったから調律師という仕事もちゃんとは知らなかったし、こんなにピアノ自体が奥の深い物だとは思わなかった。 先輩の仕事を見て技術を盗んだり、お店のピアノで練習したり、ピアノに沢山触れることでこつこつ地道に極めていくしかない。ホームランを狙おうとすると調律が乱れてしまう。とても難しい世界なんだと知った。 【「祖母が作ってくれたミルク紅茶。小鍋で煮出した紅茶にミルクを足すと、大雨の後の濁った川みたいな色になる。鍋の底に魚を隠していそうな、あたたかいミルク紅茶。」】(P.19) 本当にこの作者さんは別のものを自然のものへ例えるのが上手すぎる!普通、大雨の後の濁った川なんか飲みたいと思わないのに、ここでその表現が登場しても嫌な感じがしないどころか温かみを感じるのがとても不思議。でもイメージが湧きやすくて、この作者さんの表現が本当に好き。 【「俺の見てる景色とは違うものが見えてるんだろうな」】(P.33) 山育ちの外村(とむら)は山に咲く花ならなんでも知っている。それが当たり前の外村に対して言った先輩の柳さんの言葉。同じ景色でも知識の違いで見えてるものが違うってやっぱり人それぞれの感性とかもあるだろうけど、育った環境が大きいと思う。外村の感性が結構すきだなぁと思ったのと同時に、ピュアな外村に不安にもなった。 【「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛(たた)えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」 「原民喜(はらたみき)が、こんな文体に憧れている、と書いていたのですが、しびれました。私の理想とする音をそのまま表してくれていると感じました」】(P.57) 文体に限らず、他の物に置き換えて考えてみると確かに深い言葉だなぁと。 【朝早く、森を歩いた。〜エゾマツの鳴らす音を、僕は知っている。だから懐かしいのか。だから魅かれたのか。】(P.154) 本当に自然の表現が綺麗!!!季節感や自然を感じ取りやすい文が凄く好きな私にとってここの場面は胸がときめいた。 【こどもだなんて言われたのも、生まれて初めてだった。〜なんだか気持ちが軽くなった。そうか、こどもか。わがままか。】(P.171) ここから外村の自我の芽生えというか、ここから始まったって感じがして良かった。 【わがままを究めればいい。】(P.172) わがままになれるくらい、自分があって、主張したいことがあるって素敵なことだと思う。今までの外村はそれを見つけられずにぼんやりと生きていたんだなと思うと、ここで目指すべき道が見つかって良かったね😭と謎の親目線発動で感動。 【調律師になる。間違いなくそれもピアノの森のひとつの歩き方だろう。ピアニストと調律師は、きっと同じ森を歩いている。森の中の、別々の道を。】(P.183) 森🌳この表現が掴めそうで掴めない。なんとなくは分かるんだけど、明確に言葉で言い表せない悔しさ。私の語彙力、頑張れ。 表現が素敵なところがありすぎて書き出せないくらい本当に素敵な言葉の詰め合わせだったこちらの作品。 気持ちがわなわなする感じとか言葉で言い表せないような感情をすんなりと書いてあって、読みつつ気持ちの共感が止まらなかった。 宮下奈都さん、好きな作家さんの1人になりました。





- ミハヨダ@mihayoda2025年10月19日読んでる借りてきた図書館のベストセラー特集コーナーで、なんとなく手に取った本。 何の予備知識もなかったので、ジャンルさえ知らずに読んだ。 聞き慣れない言葉が多数出てくるけれど、 漢字の並びで、調べなくてもなんとなく意味が想像できる。(それでも調べてしまうけど) 気になる言葉 P9◽️ピアノの中にハンマーがあるんです。 P37◽️たとえイメージを共有できたとしても、そこからが遠い。その柔らかさを具現化するのが調律師の仕事なのだ。 P65◽️やさしい音でなったら、記憶の方がついていくさ P76◽️けど、まぁ、実際、電話の呼び出し音なんかはヘルスが被るからちょっと困るんだよな P89◽️板鳥さんから、柳さんから、羊から、ピアノから、たくさんの砂が押し寄せてきて、僕は溺れそうになりながら、それを一粒でもつかもうと必死だった はじめての言葉 P13 暗澹あんたん◽️ 暗くてものすごいさま P19キタコブシ◽️モクレン科の木。蕾や果実が握り拳のような形をしている。 P26静謐せいひつ◽️ 静かで安らかなこと P93相好そうごうを崩す◽️ 顔をほころばせて心から喜ぶさま P94僥倖ぎょうこう◽️ 偶然に得るしあわせ P116インプロヴィセーション◽️即興 P151 蟠っていたわだかまっていた◽️ 心に不平・不満・不安などがあって晴れ晴れしない P155 臍ほぞを噛む◽️取り返しがつかないことを後悔するたとえ P158蓮はすっぱ◽️女の態度や行いが軽はずみで下品なこと P213 竦すくめる◽️ すくむようにする。ちぢめる。 P241鷹揚おうよう◽️鷹が空を飛ぶように、小さなことにこだわらずゆったりしているさま。

















