
ぽかり
@popopocari
2026年6月21日
文学界 2026年 6月号
文學界編集部
読み終わった
血液検査で提出した自分の血液を、どうにかして取り戻したいと願う女性の物語
まず、冒頭の描写で一つ嬉しくなってしまった。作中に「採血の注射が入りにくい人(=主人公)」が出てくる
実は私も血管が細く、いつも採血に難航するタイプ
潔く手の甲や手首から抜かれることもザラにある。看護師さんの上手い下手とかはあまり関係なくて、これは体質なだよね。「あ、私と同じだ」と、まずはそんな妙な親近感。
しかし、読み進めるうちに作品の持つ重いテーマへと引きずり込まれていく
私自身、妊娠中の採血などは「病気の早期発見」が目的であり、自分を守るための安心材料の一つだと考えていた。
けれど、この物語の主人公にとってはそうではない。彼女にとって採血とは、自分のすべてが「血液から暴かれてしまう行為」という感覚が強いんだと思う
健康という尺度ではなく、自らの過去が暴かれるという尺度で物事を考えているように感じた
そう考えると、彼女がどうしても血液を取り返したくなる理由が腑に落ちる。
過去に囚われているという点では私も同じだけれど、彼女は私とは全く違う、ひどく鋭利な「執着」を抱えているものだと読了後なんとなく思った
