しがない "午後の曳航" 2026年6月21日

しがない
しがない
@ooe
2026年6月21日
午後の曳航
午後の曳航
三島由紀夫
三島の作品には必ずと言っていいほど三島の自我が現れている。この作品には三島の渇望する「男らしさ」への固執が色濃くある。女々しさを嫌悪し排除しようとするものの、母を独り占めしたいというマザコン思春期の主人公、そして彼は継父に威厳ある男(女は二の次とする昭和の男性的な強さ)としての理想を求める。首領の机上の理想論。全てのキャラクターが三島で構成されている。名は違えど姓は「三島」である。その分、三島の啓蒙的な自我が主張されておらず、また平易な文章で綴られているため読みやすい。プロットは彼らしく緻密に練ってある。そのわりに最後の終わり方は彼の師である川端のようにバッサリと幕を閉じる。「曳航」と「栄光」を掛け合わせているタイトルも彼らしくないと感じる。 彼の作品は基本的に精子臭いので好きではないのだが、この作品は非常におもしろかった。 ただ自分は彼の構成の武装による完成具合や、物語や人格の矛盾のなさを貫く完璧具合がなんとも不自然に思えて、改めて苦手なのだなと思った。だからこそ文学的評価や根強い世間的評価が確固として根付いているのは理解できるのだが。
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