阿久津隆 "土にまみれた旗" 2026年6月9日

阿久津隆
阿久津隆
@akttkc
2026年6月9日
土にまみれた旗
ベイヤードとナーシサがドライブをして、砂糖黍を引く馬を見下ろして、それからオポッサム狩りに出かけた。 p.396 ベイヤードは木に寄りかかっていた。梢と、その彼方にあるやわらかい空を眺めやり、手にした煙草はゆっくりと燃えるにまかせていた。ナーシサは、ランタンの光を背にしたベイヤードの陰気な横顔を見て、さらに身を寄せた。しかしベイヤードは反応せず、彼女は彼の手の中に自分の手を滑りこませた。だが、その手も冷たかった。彼はまたしても、彼女をあとに残し、孤独な絶望の高みへと向かっているのだ。 不意にベイヤードがこういう状態になったので背中がひんやりするのを感じて、辛い気持ち。ベイヤードのこの状態に対する僕の辛い気持ちはなんだか不思議な感じがあったが、けっこう強いものだった。先日『サンクチュアリ』のことを少し検索したらナーシサが未亡人と紹介されているのを見て、それはつまり、ベイヤードの死ということか? とずっとうっすら思いながら読んでいる。このページの終わりにも「逃れ得ぬ破滅」とあって、破滅はやはり、逃れられないのだろうかと思い、気持ちが沈むのを感じた。
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