
ジクロロ
@jirowcrew
2026年6月23日

熊野集
中上健次,
川村二郎
ただ狭い共同体の中で錯綜した力関係は互いに力を打ち消し合い、一人が力を集中して持つという事はなく、同時にエネルギーを相殺して澱んだ沼のように平穏になる。
(『海神』)
中上健次の路地の描写は「動脈」を彷彿させる。完結できないからこそ、外に脈として溢れ出す。これが路地のエネルギーではないかと思う。
一方で都市には静脈が網目状に広がる。一所に回収されるエネルギーの残滓。路地もまたその静脈に絡め取られる運命にある、という定説を覆したくて、中上健次は路地という人間の生きた血の流れる動脈に、文章でもって輸血したのかもしれない。

