Unununium "方舟 (講談社文庫 ゆ 10..." 2026年6月23日

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@Unununium_111
2026年6月23日
方舟 (講談社文庫 ゆ 10-3)
引き込まれ、考えさせられるミステリー! 面白すぎて寝る時間を削って一気読みしてしまった。 ミステリーとしても本当に素晴らしく、「ええ!そうだったのか!」「犯人当てれなかった!」みたいな感想ももちろんありそれだけでも楽しめるのだが、本作はそれ以上に自分のこととして考えさせられる主題が存在しているのがとても魅力的だった。特にラストは凄まじい。 異常な状況なのに、各登場人物に凄く共感できる感情も随所にあって、まるで自分も方舟にいるかのような感覚に陥った。未読の方にはぜひ読んでもらいたいし、読んでしまったら語りたくなり、色んな意見を聴きたくなる作品。 【以下、ネタバレ注意】 犯人が判明するタイミングで、「そこまでする程恨む動機だったのかな?もう少し深掘りが欲しかったな」と思っていたが、最後の最後に本当の動機が知れてこれ以上ない程共感できたし、恐怖した。あの瞬間に犯人、主人公、その他のメンバーのそれぞれの感情やこの後の行く末を想像して、色んな感情がない混ぜになり鳥肌がたった。 少し前の主人公と犯人の別れのシーンで、「一緒にいるって言ってくれよ!」と思いながら読んでいたので、ラストのあの結末とそれに対する主人公の… 『……どちらも同じくらい無意味であるのが、直感的に分かっていた。』 …というセリフから、もうどうしょうもならない絶望感を痛いほど感じられた。 またその前の犯人の… 『……でも、そうはならなかったから、残念だけど、もういいかなって。』 ……というセリフは個人的には凄く共感できた。いわゆる「冷めた」を感じる瞬間の最上位だと思う。 そして、探偵役がここまで悲惨な末路に陥るミステリー作品ははじめてでびっくりした。謎解きの最中はミステリー作品らしくスポットライトを浴びて輝いているように感じたのに、真相が明らかになった後の…… 『……俺は、君が、極限状況のときに誰よりも理性的な判断ができることを信じている。』 …なんて凡庸で何の感情も動かされないようなセリフを吐くとは思わず、急に「普通の人になってしまった」ギャップに驚いた。ラストシーンの絶望の絶叫とその後の結末を考えると、「探偵」が「普通の人」になってしまったのにも頷けるのだが、ミステリー作品で初めての経験だったのでびっくりした。 各登場人物に共感できたと上述したが、読了後の感想としては犯人に一番共感した。それ故に他のメンバーは偽善者のように感じられ、ある意味「お互い様」なのだから、個人的な解釈としては、きっと犯人が無事に生き残れた後に後悔や自責の念に苛まれることはないんだろうなと思った。
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