"華胥の幽夢 十二国記" 2026年6月23日

雨
@ametrine
2026年6月23日
華胥の幽夢 十二国記
番外編的な短編だけど読み応えは抜群。為政者たちの葛藤がわかる一冊。 斃れてしまった王たちにも正義がちゃんとあった。国を良くするために走っているのにどうして悪くなっていくんだ、という戸惑いや焦りがありありと伝わってきて辛い。 特に臣下たちからしたら王は今まで引っ張ってきてくれた立派なリーダーであり、一緒に走ってきた仲間なんだからそりゃしんどいよね。 できることならなんとかして建て直したいし、この王はもうだめだと見限るのも辛すぎる。 「乗月」では王を討った月渓の心のうちが明らかになって、彼は彼で忠誠を破らざるを得なかったことをすごく引きずっているし、「華胥」は王の傑物ぶりが描かれて明らかな失策はない(ように見える)のに失道に向かっていってて、なんていうかとにかくやるせない気持ちでいっぱいになった。 本当は皆、王にそのまま国を治め続けてほしかったし王と一緒に頑張りたかったよね…。 王たちはあらゆる決断において正解を選び取らないといけなくて、その重圧が少しずつ心を蝕んでしまうんだと思う。 奏や雁のように長く統治が続く国でも、その恐怖は常につきまとうものなんだろうな。この二国が未だ健在なのは、きっとその責を分かち合ったり託せる相手がいるからだよね。 「人を責め、非難することは、何かを成すことではない」 ドキッとした。 私たち一般市民は声を上げることも大事だけど、それで何かを成した気になって、実際に任務に当たる人のことをこき下ろすのは違うよね。文句を言うだけなら誰にでも出来る、ってやつ。肝に銘じます。 短編なのにこんなにもズシっとくる内容。凄い。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved