伊原岳
@iharagaku
「岬」発表時には、路地が被差別部落であることは明示されてはいない。しかし、「岬」は、被差別部落をモデルに創造された路地という空間を舞台とする家族物語として読むことができる。この点で「岬」は、日本語のことの葉の記憶、近代日本文学の伝統に批評的に介入する言葉の連なりだ。日本語のことの葉(言の葉・事の葉)の歴史のなかで最初期の家族物語は、天皇の一族の物語である。『古事記』『日本書紀』は、神代から律令時代まで、この国の統治者としての天皇の一族の歴史を紡ぐ。歴史として文字で記されてきた天皇家の家族物語に対し、「岬」が語るのは、文字の歴史から零れ落ち、文字に残されてこなかった被差別民たちの一族の記憶である。
伊原岳
@iharagaku
「小説から遠く離れて」が手元になくて正確に引けないけど蓮實が中上を「ゴダールに接近している」と評した理由をここ数年考え続けてて、本書でも少し触れられてた反物語的な視点がやはりそれなのか?