MoroN "日の名残り" 2026年6月23日

MoroN
@MoroN
2026年6月23日
日の名残り
日の名残り
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
本当に素敵な小説だと思う。スティーブンスが価値観の軸に置く品格。このスティーブンスの定義は一見、尊敬に値すべき姿勢で、美しく中世市民の模範に感じる。 ただ、その価値観により、多くのものを失った事に気づいていく。 医師との会話は象徴的だ。医師は、決断と行動こそ尊いと感じ、ただ議論することや、信じて埋没することに価値を感じない。でも医師もその価値のないものに成り果てようとしている。そんな自分にも折り合いも付けている。 一つのテーマに老いによる能力や価値観の変化というものがあるだろう。 そして、スティーブンスはこの先に新たな価値観を見出す未来も予見される。 日の名残を感じながら夕方に何を思い、明日に想いを馳せていく。 哀愁と切なさの中に確かな希望も私には感じられる。 60代でまた読みたい。
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