ありたろう "傲慢と善良" 2026年6月18日

傲慢と善良
傲慢と善良
辻村深月
人生、我を通すしかない。 前半部分の「婚活あるある」の描写が「解像度の高い」として持て囃される本書ではあるが、 前掲の如く、 自らの人生を定義する「我」の中に他者を組み入れる過程、その意思決定こそが結婚という営みである、というテーマが本書(特に後半)で示される、著者の隠した中核ではないだろうか。 病める時も健やかなる時も共に、という誓いの言葉の本質もまたここにあるように感じられる。 然は然り乍ら、相変わらず最近流行りの小説は訳知り顔のキャラが「世の中こうですよね」を語りすぎる。特に前半。後半はしかし毛色が変わり、行間の余白が雄弁な語り部となっている。 極めて個人的かつ一面的な所感としては、商業的に「世間に刺さる」前半に、敢えてテーマをずらした後半を添えたところに作家辻村深月の抗いを感じる、という愚にもつかない所感も添えさせていただきたい。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved