時間のかかる読書人 "おやときどきこども" 2026年6月25日

おやときどきこども
いまの親世代の多くは、日々の暮らしが土から切り離され、心身ともども根なし草になった最初の世代に育てられました。かって日本の高度経済成長期に親になった世代は、農村で育った自分の親のやり方が自分の子にはまったく通用しないことに悩んでいました。そのころの日本社会は、旧来の価値観をなぎ倒してでも日々進歩していかなければ時代から取り残されてしまう、そういう強い焦燥に駆られた人にあふれた時期でした。 その焦りは、子育てにも知らず知らずのうちに反映されます。そうやってイライラを抱えた親から、一方的な言葉のシャワーを浴び続けて育った人も少なくありません。 こうして、身体に根づかず、しかもどこか強迫的な言葉を与えられ続けることによって、十分な自覚がないまま傷ついてきた人たちがたくさんいます。その人たちは、自分が何をされたかわからないまま、良かれと思って子どもに同じことをしてしまう傾向があります。だからこそ、自分自身はこれまでに何を損なってきたのか、そしていまも何を失い、失うことで逆に何を得ようとしているのかを立ち止まって考えることは、親子関係にとどまらず、私たちが人と関係を築いていく上で必要なことです。
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