
きん
@paraboots
2026年6月25日

三千円の使いかた
原田ひ香
かつて読んだ
御厨家の人たちとその周辺の人たちの群像劇。
父和彦、母智子、そしてその2人の子の姉の真帆、妹美帆、そして祖母の琴子、琴子の知り合いの小森安生の視点を中心に語られる物語は、読む人を選ばない誰にでもある、誰にでも想像しうる構成となっている。
お金の使い方を通して、それぞれの人たちの人生観や関係性、またそれぞれの世代特有の視点が散りばめられている。
俗に言う、20代には20代の、30代には30代の、40代には40代の悩みや考え方や感覚がある、と言うことなのだろう。実は私も、若い頃にはわからなかった想像し得なかったような話も、読んでいて噛み締めるような思いを感じながら読む箇所がいくつかあった。
あとがきに作家の垣谷美雨さんが書かれているように、読む人に「あるよねぇそう言うこと。あるあるだよねぇ…」と思わせる内容となっている。
お金の使い方は、その人の人となりがあらわれると言うのはまさに本当のことで、お金という割り切れるもので、人は様々な自分の周りにある事象を整理整頓するのだろうけれど、同時に、それでは割り切れない様なことにぶち当たることも事実だ。例えば妹の美帆は、彼氏の翔平と結婚を考えるが、彼自身に借金があることや彼の両親を含む家族との金銭感覚の違いから、結婚していいものか悩むし、真帆は夫太陽と若くして結婚し子供にも恵まれるが、結婚を機に退職したことや、そもそも太陽と結婚したことで生活がキツキツなのではないか、相手が違えばもっと贅沢できたのではないかという様なことを自分の同級生の生活と比べて感じたりしている。母智子に至っては、大きな病気になったことが今までの自分の人生、和彦との結婚生活や今後の身の振り方を振り返るキッカケとなっている。
割り切れることだけを考えれば、人生はもっと単純に、そしてドライに判断や決断を下してゆけるし、思い悩むこともないだろう。
でもそうならないのは、割り切れない部分にこそ人は浪漫みたいなものを感じるし、揺さぶられるのではないだろうか。
そんなことを考えさせてくれる本書は、僕にとってそれぞれのライフステージに差し掛かった時に、その都度手にとりたい一冊となった。
本書を読んでいて前向きな思いを感じさせてくれるのは、割り切れないような思いを抱きつつも、前向きに直向きに自分の問題と向き合おうとしている人たちに感動するからなのかもしれない。
追伸
お金や生活に関する豆知識がところどころ散りばめられているので、今度いろいろやってみたいなって思った。




