しろくま "現代民主主義" 2026年6月26日

現代民主主義
「このように、民主主義という言葉から人々が連想するものには、かなりの温度差がある。それは政治体制やイデオロギーであったり、人々の生活様式でもあったりする。意味が複雑に絡まった概念を相手にする場合、それを漫然と語ろうとすると必ず失敗する。そのため、この絡まりをほぐし、対象を見極めるためのしっかりとした足場が必要になる。 本書はこうした厄介な民主主義に、政治思想の観点からアプローチするものだ。ここでの関心は、民主主義とは何かというより、もう少し控えめなものである。すなわち、民主主義はどのように語られ、理論化されてきたのだろうか。二〇世紀以降の政治思想史を手がかりに、この茫漠とした概念の尻尾を捕まえようというのが本書の目的である。 本書の対象は、おもに二〇世紀以降の民主主義論である。政治理論家のハンナ・アーレントはかつて、この時代を指して「戦争と革命が二十世紀の様相をかたちづくってきた」(アレント 一九九五)と表現したことがある。確かにこのあいだ、国際社会は二度の世界大戦を経験したし、ロシア革命に始まる社会主義体制は多くの人を魅了し、また幻滅もさせた。なにより彼女の念頭には全体主義という未曽有の政治体制のことがあっただろう。 しかし二〇世紀はまた、自由民主主義が多くの国々に拡大し、主要な政治体制として定着した時代でもある。その意味で二〇世紀はまちがいなく「民主主義の世紀」でもあった。 こうした現実政治の動向は、同時代の政治思想にも影響を与えずにはおかない。民主主義についての言説がこれほどあふれかえった時代も珍しく、多くの人が民主主義について語り、 様々な構想やヴィジョンが示されてきたのだ。本書はこうした試行錯誤をめぐる一つのドキュメントである。」(ⅳ-ⅴ頁)
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved