しすい
@shisuibubble
2026年6月26日
武道館
朝井リョウ
読み終わった
お上手な小説。
アイドルにとっての武道館とはなんなのか。
個人にとって自分がアイドルであるということの意味。
柵を身体性が凌駕する瞬間。
不可逆な成長。知るということは甘い呪いだ。
自分にとっての武道館はなんだろう。
アイドルが恋愛をすることが本人の自由だとして、その代償としてアイドルとしての立場を失うことも自らの責任であるとして、ファンの気持ちの行き場はどうしたらいいのだろう。そういうものだと覚悟してファンになるしかないのか。そうではないものという幻想こそが偶像としてのアイドルではないのか。その幻想を追っている時間を買っているのであって、幻想が終わったこと自体は甘んじて受け入れるべきなのか。なぜファンはアイドルに処女性を求めるのか。
これが10年以上前に書けていたということ。
それからの10年でアイドル業界は、それまでの10年に負けないくらい変容したように思う。
男性アイドルは多様化し、女性アイドルはパターンが収束しつつある(ように見える……)という、逆ベクトルの動きを見せているのが興味深い。
何を選び取るのかという問いは、何を捨てるのかという問いでもある。
何を犠牲にして何を得るのか。何かを得るには犠牲が必要なのか。それは本当か。
