
いわたかな
@iwatakana
2026年5月9日
ゲームの王国 上
小川哲
読み終わった
ポル・ポト政権成立前後の激動のカンボジアを舞台に、天賦の知性を持つ少年ムイタックと少女ソリヤの運命を描く物語。人々がとんでもない不条理と支配の論理に飲み込まれていく様子に息が詰まった。
酷いことされたら悔しいのはわかる。でもそれをおんなじようにやり返そうって考えが悲劇のもとなんだな。自分がされてやだったことを引き継いでもしょうがない。
自分が理解できないことは狂ってるって切り捨てるのは、可能性を封殺しちゃうことだと思った。全部は理解できなくても、そういうこともあるのかなって態度が、結局は全体の豊かさにも繋がる気がする。
輪ゴム大好き少年クワンが、いったんは好きを封印しても戻るのがよき。もはやアイデンティティみたいなものを無理矢理閉じ込めてもうまくいくわけない。ムイタックが回帰を促したのもエモかった。
あと、マットレスのパートも好きだったな。自分の価値観、神様みたいなものを内面化する過程がおもしろかった。ソリヤと出会って神様が入れ替わっちゃったから、終わりの始まりって感じがしたけど。
自分の中の神様で言うと、ノイは立派だったな〜。自分の中に宿したのがばあちゃんだったから、あのノイの人生があったと思う。
あと、村人たちとのコミュニケーションの齟齬みたいなのも笑っちゃったな。教育とか教養の不足が引き起こしてることだから軽々しく笑っちゃダメかもしれないけど、どうしても。しかもそんな村人たちの方が本質突いてんじゃないかって部分もあって奥深い。
最後の方はいいこと何もなくて、罰ゲームみたいに聴いてたけど、あの最低最悪の状況下でムイタックがまだ諦めてないことに痺れた。すごすぎる。ピンチの時はこの考えを大事にしたい。

