ジクロロ "隠喩としての病い・エイズとそ..." 2026年6月26日

ジクロロ
ジクロロ
@jirowcrew
2026年6月26日
隠喩としての病い・エイズとその隠喩
隠喩としての病い・エイズとその隠喩
スーザン・ソンタグ,
富山太佳夫
癌患者につく嘘と、癌患者がつく嘘のうちに、高度産業社会では死を受けとめることがいかに耐えがたくなっているかが反映されている。死はおぞましい無意味な事件とされるようになり、一般に死と同義とされる病気も隠すべきものとされるにいたっている。癌患者に病気のことを隠したり、ぼかしたりするのは、死の間近い人々にはそのことを知らせないのがいちばんいい、瞬間的な死、無意識状態での死、睡眠中の死が何よりであるとする固定観念を反映したものである。だが、死の否定を云々してみても、嘘の範囲とか嘘をつかれたい気持ちとかの説明はつかないし、奥底にある恐れもそのまま残る。 恐怖が集まれば「黙示」録になる。 隠喩と神話化の親和性。 看取ると看取られる、「向き合う」ことを避けようとするときに差し挟まる嘘と沈黙。これがその時代の治療困難な病気にまとわりつく隠喩の呪力(支配力)。 「言葉に刻印された深刻な意味」という意味では治癒困難。 人間に嘘をつかせ、沈黙をもたらすのが隠喩の力。言葉を、その生命や関係性に対する影響力を侮るなかれということ。 "カフカは友人に書き送っている。「言葉のうえでは確かなことは何もわからない。結核の話になると・・・・・誰もが口ごもり、言葉を濁し、ぼかしてしまうから」。" (p.13) カフカにすら、言葉のうえでは「確かなこと」をわからなくさせるのもまた隠喩の呪力。
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