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2026年6月26日
p17
「「言葉には魂がある。人を感動させる者は、結局は言葉なんだ。人が信じるものも、人が崇めるものも、言葉なんだ。人間の人間たる条件は、言葉を発することにある。つまり、人間は言葉でできているんだ。」」
p20
「結局は、言葉はすべて作りものだ、と今は思っている。」
p21
「人は、死に向かって、最後は誰でも不幸になる、ということだろうか。どうして、幸せを感じたまま死ぬことができないのだろうか?」
p22
「自由に死ぬことができれば、あのとき死んでいたな、という過去が思い浮かぶ。なんでもできた。好きなことは、なにもかもできた。でも、死ぬことはできなかった。自由に死ぬことができたら、どんなに幸せだっただろう。」
p67
「「幸せじゃないの。生きているだけで楽しい?」」
p70
「いったい、自分は何がしたかったのだろう?子供のときに、どんな大人になりたいと考えていたのか。どうも、そんなイメージを持つことがなかった。なりたいものはないし、そもそも生きたいとも望んでいなかったのではないか。」
p71
「過去のことは、できるだけ思い出さないようにしている。思い出したいのは、あの一時だけ。つまり、恋い焦がれていた短い時間だけだ。あの時期が、自分の人生の華だったのだろう。」
p71
「生きることは、死ぬことより本当に「まし」なのか?」
p90
「「そうそう、過去の話は一切せんからな。二人で未来を見つめて、語り明かそう。」」
p96
「泣きにきたのだ。夜の殻の中で、私は声を上げて泣きたかった。悲しくて、悲しくて、自分の人生の儚さと哀れさに、息が詰まる思いだった。」
p97
「慎ましく、清らかに、生きてきた。人は、気持ちというものを持っているという。それは、本当だろうか?」
p99
「しかし、一番愛おしい人に、もう触れることができなくなる。」
p99
「運命を受け入れることしか、私に残された道はない。あらゆる選択肢の中で、それが最も私らしい。私の生き方に近いものだ。今になって、それに気づかされる。私は、今まで自分を信じて生きてきた。だから、最後も自分を信じよう。」
p100
「ただ、自分はもう精一杯生きたのだ、というだけ。そんな微かな納得に、私は縋っている。おそらく、それが一番美しいから。」
p101
「私は、泣きたいのだ。ただ泣きたい。一人で泣きたい。声を上げて泣き叫びたい。私が今まで生きてきたすべてが、この涙のためにあった、と思いたい。この贅沢を、私は今も感受し、これを胸に抱いたまま、消えていくだろう。こんな美しい人生に、私は感謝している。嬉しくて、泣いているのだ。」
p101
「本当にありがとう。私は、貴女のために生きてきたといっても良い。貴女は、いつも私の生きる理由だった。目標だった。貴女を目指して、私は歩み続けてきた。」
p102
「導いてくれたのは、いつも貴女だ。私と貴女の間に、美しいものが存在している。悲しいものが存在している。それが、私という人間のメイン・フレームを築いた。どうか……。気持ちというものが、もし存在するのなら、見てもらいたい。」
p131
「<海の詞>という題名の本だった。大日向慎太郎の名前がある。」
p193
「「あの海の詞を読んだんですけれど、最後に、二人を見ていた海、で終わる歌があって、それが、橋の上、川面に映る日、二人で飛ぼう、とかって言葉が出てくるんですけれど。」」
p197
「「私も自殺しようと思ったとき、その社会的理解に苦しみましたよぅ。親は悲しむだろうなって、知合いのみんなに迷惑がかかるだろうって……。」「悲しむのが普通でしょう。」小川は言い返す。「駄目だよ、自殺なんかしちゃ。」」
p198
「「これは、どちらが正解だという問題ではないと思います。人それぞれに、自分の生き方があり、自分の死に方がある、その自由が基本的にある、ということなのでは?」」
p223
「本当に、よく自殺しなかったな、と自分に感心している。」
p225
「自分が憧れた人、美しい人というのは、きっと一人で生きられる強さを持っているだろう。」
p229
「「貴方の温もりを夢見て、明け方に窓を開けますってさ、はは、笑わせるんじゃないっての。」」
p234
「「愛する人だったら、苦しまずに死なせてあげたいって思うんでは?」「そうかなぁ。生きていてくれるだけで嬉しいっていう気持ちもあるんじゃない?」」
p235
「「でも、そこは賭けだわさ。どちらに賭けるかってこと。」」
p236
「「許容するだけでは、ちょっと消極的じゃない?もっと、その判断を人権の一部として認めて、寂しいとは思うけれど、立派なことだと見送るような認識が、たぶん、社会的理解というものだと思うな。」「ぬぁるほどぅ。」雨宮は唸った。「そうか、許容するだけじゃ駄目なんだな。そこのところが、これまでの概念?うーん、共通認識では欠けていた部分か。」」
p253
「「そのとおりです。他人ですよ。私ではないのですから。ただ、外側でも、多少は近いところにいる、というだけです。声が届く範囲にいる、という意味です。でも、内側ではない。内側というのは、思うだけで気持ちが通じるような関係です。それは、自分以外にありません。」」
p261
「「はぁ?ああ、デートか……、誰でもええがね、そんなこと。」」
p271
「「本来、死とは、素直に個人が受け止めなければならないものだ、と私は考えています。他者が認めたり、排斥するようなものではない。人はそれぞれ、その人なりの死があって、どのようなスタイルを選択するかも、本人の自由に任されている。したがって、それを自分で考えなければなりません。」」
p308
「西之園萌絵は、都内の私立大学の准教授である。」
p312
「「なによりも大事なこと、というわけではない。」西之園は、彼女の方を向き、微笑んで首をふった。「誰かを罰するためですか?しかし、もう罰する人はいない。そうでしょう?重要な点は、自分の死を決断した人がいて、その人が自身の欲望のために、可能なかぎりの準備をした、ということです。その舞台装置を裏から暴くことは、大事かしら?むしろ小事ではありませんか?」」
p313
「「ただ、それですべてが解決するわけではないし、また、それだけの動機ですべての行動が正当化されるわけでもない。真実というものは、たぶんどこにもないの。そういうものがあると信じて、みんながそれぞれに異なる虚像を追っているだけ。」」
p315
「「真実を知ることは小事だってさ。」」
p343
「「まあ、でも、生きているのは死ぬためだといえなくもないですからね。」」
p343
「「みんな死へ向かって生きているわけですから。」」