夕灯
@yuuhi
2026年6月27日

夜啼く鳥は夢を見た
長野まゆみ
読み終わった
再読
読了 26.06.29
初期の長野まゆみ作品に真相はない。
それを受け入れられる時とそうでない時があり、そのケースの違いは主に読み手である私自身の体調にある。
美しい時間を描くために作られた作品を読み、同じ時間の共有を願う、初期長野まゆみ作品はそういうことのために読むのだと思う。
それらを忘れて、「あの話はどんな話だったか」などと長野まゆみ本を持ち出してくる人間の欲しているものとは、おそらくノスタルジアである。
この本もまた、ノスタルジアを刺激する情景を持っている。謎は謎のままであり、登場人物たちの終端も匂わせられるだけ、本だけが終わっていくような話である。
ノスタルジアを求める人間がこんな風に置いて行かれるなら、それは夏の明るい夕暮れか一人きりの夜でなくては耐えられない。
見れば、この話もそういう夏の話だ。
逆算して、この本はそもそも夏の夕暮れを目指して読む本だったに違いない。
この本は、話の流れがとか登場人物の顛末がとか真相がとか言ってないで、ただ部屋に灯すフレグランスのように読むべき本に違いないのだ。
このコメントを読んだ皆さん、早く私をミュートしておいてください。