かしめ "方舟 (講談社文庫 ゆ 10..." 2026年6月22日

かしめ
かしめ
@nezikiri_s9r
2026年6月22日
方舟 (講談社文庫 ゆ 10-3)
※ネタバレがあります。 積読解消。読み終わってしまうのが名残惜しくなるほど面白いミステリーだった。 オチは元ネタ(冒頭の一節)を知っていれば何となく想像できたものの、語り手と探偵役の視点で物語を追っていると、「さすがにそのような悲劇的な結末にはならないのではないか」という気持ちにもなる。その期待が見事に覆される展開がたまらなかった。 各登場人物は一人の犠牲者を選ばなければならない。しかし、たとえ殺人を犯した者が相手だとしても、自分たちの意思を強引に押し付けるのであれば、自分たちもまた殺人犯と変わらないのではないか。いっそ誰かが立候補してくれないか。そんな葛藤を抱える姿が印象的だった。 その一方で、その混乱の中に紛れながら、ある一人だけが「啓示」を受け、生き残るという目的のために淡々と残酷な殺人を重ねていく。その姿には底知れない恐怖を感じた。 しかし同時に、犯人が途中で語る言葉にはどこか惹きつけられるものもあり、恐ろしさと魅力を併せ持った絶妙なキャラクターだった。 終わり方がいい意味で後味が悪いのが好み。
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