"女王の百年密室 GOD SA..." 2026年6月27日

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2026年6月27日
女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN
p26 「人生のほとんどは、選択できないもので占められている。それが運命というものの定義。それなのに、どうして、幸運だとか不運だとかいった判定をしてしまうのだろう。無意味ではないか。取り替えのできないものに対して、良し悪しを識別したところで、なにも生まれない。なんの方法もない。」 p27 「ただ……、僕は、ここで、とても不思議なものを見た。とても美しいものに触れ、とても悲しいものも知った。」 p27 「しかし、その余韻ともいえる束の間の信号のゴーストに、人の生の証しがあると信じる以外にない。自然界に刻まれる一瞬の「乱れ」かもしれないけれど。きっと虚像にちがいないのだけれど。」 p28 「それが、この物語だ。」 p32 「「我々は空高く飛翔し、我々の永遠の魂は、私の心の中にある。」」 p33 「「ウォーカロンです。」」 p37 「「神に導かれた。」」 p37 「「女王に会いにきた。」」 p37 「「どうして?どうして?」ジュクはにやりと笑う。「それをいうのが人間だよ。」「僕は人間だもの。あなただって人間でしょう?」「私を判定する以前に、私を好きになることだ。」」 p38 「「私は奇跡を探している。」」 p59 「「造られて、百年ほどになります。」」 p59 「「あなたが、二人目ですね。」」 p62 「「不幸、ですか……。」僕は頷く振りをする。「ええ、外に存在する幸せは、すべてこの街に既に存在するのです。」」 p62 「「ここは、人工的に造られた街で、住民はルナティック・シティと呼んでいる。」」 p63 「「ただ、この街には女王がいる、という。」」 p66 「「ええ、しかし、おっしゃるとおりです。ここが造られたときから、まだ、一人も死んでいません。それは事実です。ただ、もたろん、半分は眠りに就きました。今、永い眠りに就いていない者は、半数の百五十人ほどです。」」 p73 「まさにそのとおりだった。時間など忘れてしまうほど、時間など想像もつかないほど、美しい、と僕は思う。」 p76 「「名前は、デボウ・スホといいます。敬称はいりません。デボウでけっこうですよ。」」 p84 「女王の笑みとは、世界に存在するどの山より高い、どこのとき僕は思った。僕にはとても登れない高さだ。「乗り越えるには高すぎる。」というマイカ・ジュクの言葉を何故か思い出した。」 p97 「地球上のどこで目が醒めようが、目が覚めた事実に比べれば小事だ。」 p97 「「二一一三年十月一日午前七時四十二分。」」 p102 「「僕は、ジュラ・スホといいます。」一歩前に進み出て、少年は片手を差し出した。高貴な微笑に僕は気づいた。」 p105 「「キョーヤ?」僕はその名前を聞いて、一瞬呼吸が止まった。胸に片手を当てている。心臓が止まってしまったかと錯覚したくらいだ。「もしかして……。」僕は尋ねる。「マノ・キョーヤのこと?」」 p111 「「神は女王を護る。」」 p122 「きっと、誰か個人の意志だ。百年まえのその意志の残像を、僕は見ているのかもしれない。」 p132 「爽快になったり、憂鬱になったり。足を交互に抱くみたいに、そうして、気持ちも歩いている。」 p139 「血。血。血。」 p140 「僕が何を考えているのか、ロイディには認識できない。こんなにすぐ近くにいるのに。伝わらないのは、不思議だ。ロイディは、マノ・キョーヤを知らない。」 p142 「しかし、その夜の惨劇を予測した者は、いなかっただろう。ただ一人を除いて……。」 p146 「「マイカ・ジュク!」」 p149 「「いずれにしても、人生なんて短いもんさ。」」 p149 「「毎日が歴史を作る。どの道を通っても君は名を遺すだろう。戦士はみんな栄光に包まれて倒れ、伝説はすべて征服と自由を語るんだ。」」 p151 「「可能な間はできるかぎり相手を遠ざけておけ。少年になるな。一人の男になる必要さえない。」」 p170 「僕はこのとき、彼女を初めて見た。王女クロウ・スホである。」 p175 「僕は、しかし、ソファのジュラ王子をじっと見つめて、それに気づいた。一瞬の戦慄。」 p178 「血。血。血。」 p181 「しかし、ルナティック・シティの核心は、まさにこの部屋の中にあったのだ。」 p189 「「そう、プロシジャです。」」 p191 「「ミチルは優しいのね。」女王は微笑んだ。彼女の目から涙が溢れ出た。僕は、それを見てほっとした。僕の目にも涙が溢れ出る。デボウは微笑んだまま、涙を流した。」 p192 「「ここでは全員が、未来に生きることができるのです。」窓辺に立ってデボウは振り返った。彼女の金色の髪が一瞬だけ広がった。「誰一人、死なない。それが、私たちの神の力。」」 p199 「「人は死ぬと、どうなりますか?」彼女は振り向いて僕を見た。」 p199 「「そうです。個の存在、つまり意志です。それが、人間そのもの。人間だ、といっても同じです。」」 p202 「「人の欲望を知っていますか?」」 p203 「「クロウが悲鳴を上げたのです。」彼女は言った。「あの子が、そんな声を出したのは、初めてのことでした。」」 p218 「でも、恐る恐る足もとを見ながら下りたおかげで、黄緑色のリボンが途中に落ちているのを見つけた。」 p219 「生きることは、それほど難しいことではないのに、何故、ここまで難しくしてしまう機構が生まれたのか。何のために、生きること以外の、あるいは以上の営みをするのか。頭脳の肥大化の目的は何なのか。生を超えて、それが求めるものは何だろう。どこを目指しているのだろう。」 p219 「この形の部屋で、完全弾性体の球体を壁にぶつけるシュミレーションが、実現上におけるボールの運動を決して予測できないように、人の思考もまた、現実に追従するものではない。そこには、必ず不確定な限界が立ちはだかる。最後には、者はものでなくなり、また、場所は場所でなくなる。時は時でなくなり、人は人でなくなるだろう。」 p232 「「運命は突然やってきます。」」 p244 「人間は、思い出して、悲しくなるんだ。ゆっくりと思い出して、そして……、なにかと比較して、悲しくなるんだ。」 p246 「血に染まる床。血。血。」 p257 「「でも、本当は、私のことを判断するまえに、私を好きになってくれなくちゃ。」」 p261 「「君はいつだって、どこへだって行ける。でも……、ここへ来た目的は?」「人間じゃないものを見たかった。」」 p280 「「あなたの常識が、そのままここの常識になるとはかぎらないでしょう?」」 p286 「「いえ、そうでもない。どんな田舎に住んでいても、服を着ているでしょう?服はその時代のセキュリティだよ。」」 p289 「「ええ、ちょっと変わり者の老人がいまして、マノ・キョーヤは、彼と一緒に暮らしているはずです。」「老人?」「そう、マイカ・ジュクという名の。」」 p292 「僕は、マノ・キョーヤを見据える。」 p299 「血。血。血。」 p316 「それは、黄色いリボンだった。」 p321 「「疑ってはいけない。試してはいけない。すべて受け入れ、そして、すべて信じるのです。思い起こし、考えることは、疑いを生み、迷いを導く。疑いと迷いは、試練の海に浮かぶ小舟です。波のせいではない。自らの焦心が、船を揺らし、その揺れは、しだいに大きくなる。船が揺れれば、原理を見る目は閉じられ、真実を聞く耳は塞がれる。見てはいけない。話してもいけない。そもそも、見ることはできない。知ることはできない。それを話せば、あなたは眠ることができなくなる。安らぎは永遠に、けして訪れないでしょう。」」 p323 「「サエバ・ミチル。」カイ・ルシナは僕の前に立つ。僕よりもずっと背が高い。「幸運のリボンを拾ったことは、とても喜ぶべきことだ。二つの幸運が遠からず訪れるだろう。それを信じなさい。」 p324 「「特定されていない。特定することに、何か意味があるのか?」」 p325 「「サエバ・ミチル、君の瞳は綺麗だ。」カイ・ルシナが囁いた。「その片方は、義眼だね?」」 p341 「「目にすれば失い、口にすれば果てる。」」 p344 「「夢は夢以外のなにものでもありません。」女王は微笑みながら首をふった。」 p356 「「あなたの心は乱れています。じっと、静かに、待つことです。水はいずれ平らになる。平らになれば、そこに本当の自分の姿が映るでしょう。鏡の中のあなたを見なさい。そこから、すべては始まるのです。」」 p357 「「虎が羊を襲う。羊は虎に復讐しますか?」」 p360 「デボウ・スホの髪が、僕の顔に触れる。彼女の手が、僕の髪に触れる。」 p368 「黄緑色のリボンは出てきたけれど、黄色のリボンはない。」 p384 「「どうして、女王は、冷凍睡眠を?」」 p387 「「殺してくれと頼まれたんだ。」マノ・キョーヤは、目を瞑って僅かに顔を上に向ける。」 p389 「目の前のマノ・キョーヤが泣いていた。彼の目から、片目から、涙が溢れそうだった。」 p397 「人間だけが、今、自分が触れているもの、見ているもの、聞いているものを現実だと信じる。そして、それが揺るぎない絶対の存在だと思い込む。その思い込みのために、過去を歪め、未来を見誤る。過去を恐れたり、未来に怯える。すべては、認識の誤差が招く幻だ。」 p398 「愛という言葉の意味を知っていることと、愛すること、愛されることは違う。」 p404 「「この街を想像した人間には、なにか、新しい哲学があったのでしょう。それを実践しようとした。その証しが私たちです。」」 p404 「「女王がお休みになられる。」」 p406 「「ゴーストに?」「そして、リボンを拾った。青いリボンだった。」」 p406 「「シュガー、一緒に飛ぼう。」ユウヤ・ナナヤクは言った。」 p416 「関係がないと思えば、すべてが関係ない。関係があると思えば、世界中のことが僕と結びつく。結局のところ、自分で線を引く以外にない。そのときどきで、これは自分、これは他人、と選り分ける。意地と惰性だけで、区別する。その選り分けこそ、人のプライドだ。最も尊いもの。それをなくすことは、死に等しい。」 p418 「軽い方が攻撃的、重い方が防御的。攻めるものは軽くなりたがり、守るものは重くなりながる。武器も動物も、すべてそうだ。」 p419 「「カイ・ルシナ。」」 p425 「「人が考えているか、考えていないか、どうしてわかるの?それに、遠く離れて仕舞えば、話はできないし、近くにいても、答えてくれない人もいます。コミュニケーションが可能なことが、生きている証拠かしら?」」 p427 「「でも、悲しいことを、もっと悲しく考えても、しかたがない。ジュラは、もう起きてこないのよ。私がいくら泣いても、彼には聞こえないのよ。」「そうなんだ。それで良い。」僕はリンの髪を撫でてやった。「それで良いんだよ。誰が、悲しんではいけないって教えたんだい?それは大間違いだ。悲しまなくちゃいけない。思う存分泣くことが大切だと僕は思う。」」 p434 「「でも、もともとは、マイカ・ジュク、あなたに、ここに案内してもらったんだ。バナナももらったし。考えてみたら、あのバナナ一本が一番美味しかった。一番助かった。」「人は飢えるほど素直になれる。」」 p435 「もしかして、同じものかもしれない。恐怖も狂喜も。生も死も。」 p445 「「馬鹿にしやがって。」僕は呟いた。「見てろよ。」「前方四十六メートルに目標。」ロイディの声。僕は全力で駆けだした。」 p460 「「目にすれば失い、口にすれば果てる。」デボウ女王はよく通る声で答えた。」 p460 「「言葉の意味を知りなさい。正しさの理由を知りなさい。生に嵩さを知りなさい。」」 p460 「「死ぬことなんて恐れていない。僕は、ただ、真実が知りたいだけです。」「真実に、それだけの価値はありません。」」 p462 「「私を最初に撃ちなさい、ミチル。」少女はにっこりと微笑んだ。」 p465 「目にすれば失い、口にすれば果てる。」 p470 「何故、人間は生きているのだろう?どうして、生きようとするのだろう?」 p472 「いったい、僕はどこから来たのだ?僕は何者だ?これから、僕はどこへ行くのだろう?」 p517 「人にはいつも、選択に充分な時間が与えられることはない。選択とは何か?何が正しくて、何が間違っている?」 p517 「血。血。血。」 p519 「女王が僕を見ていた。優しく微笑んでいるように見えた。僕は立ち上がる。ポケットに手を入れて、黄緑色のリボンを取り出した。そして、それを、マノ・キョーヤの胸の上に置いた。「彼に幸あれ、と?」デボウ・スホが首を傾げて僕にきく。」 p520 「「もう二度と会えない人、もう二度と立ち寄らない場所、もう二度と触れないもの、もう二度と聴けない音楽。」彼女は窓の方を眺めて目を細めた。」 p521 「「ありがとう。言葉は、言葉だけなのに、でも、結局、言葉が嬉しいわ。」デボウ・スホは微笑んだ。」 p521 「「許すのは私ではありません。あなたを許すことができるのは、あなただけです。ミチル、自分に問いなさい。」」 p522 「「しかし、映像では人の心は見えません。人がどう考えたかは、どこにも記録が残らない。」」 p523 「「そんなものが、本当にありましたか?」僕は黙った。女王デボウ・スホは、僕を真っ直ぐに見つめている。「復讐、仇討ち、仕返し。」ゆっくりと彼女は言った。「すべては、夢の中で思い描かれた幻です。」「そうかもしれない。」僕は頷く。「だけど、それに縋って生きているのでは?誰だって、幻に縋って生きているんです。」「生きていますか?」女王はにっこりと首を傾げる。「あなたは、生きているの?」」 p524 「「優しくあろう、とする心が、ときどき、人を奮い立たせ、人を責めたて、人を貶めるのです。良いですか、ミチル。自由とは、もっと孤立した関係、もっと冷たいルールなのよ。私たちに接触していない存在なのです。ずっと離れているからこそ、尊いと感じるの。可哀想に……、あなたはずっと囚われていた。ずっと不自由だったのね。ただ、接触していなくても、自由はあなたの中にあるものです。あなたの中に、浮かんでいるのよ。外側にあるものをいくら破壊しても、どこにも自由を見つけることはできません。そっと静かに、自分の内に求めないかぎり、得られないものなのです。」」 p533 「「あなたは、とても面白い人。」デボウ・スホは話す。「また、是非、会いたい。そこへ遊びにきてくれないかしら?もっともっと話がしてみたい。こんなふうに感じたことは、今までに一度もないことだわ。」」 p542 「「お別れのキスを。」」 p549 「「クジ・アキラ。」」 p550 「「何故、何故?それを言うのが人間。」」 p551 「「人の心は、プログラムのように簡単には書き換わらないものだ。乗り越えるには高すぎるし、くぐり抜けるには低すぎる。」」 p554 「「なんだが、二度と……、あんな綺麗な月は、見られないような気がしたんだ。」」 p558 「この空間は、百年もの間、人の生を守り、人の死を守った。生と死を曖昧にしたまま、守り続けてきたのだ。」 p583 「「ロイディ、前を見ろ。」僕は言った。「大丈夫か?運転。」「無免許だ。」彼は答える。僕は笑った。否、笑った気になっただけ。でも……、ロイディにしては、上出来のジョークじゃないか。」
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