毛糸 "約束された移動" 2026年6月28日

毛糸
@sUMAi_819
2026年6月28日
約束された移動
ここ数ヶ月、立て続けに小川洋子の文体の賞賛を受け取る機会があり、そういえば読んだことない作家さんだなと気になっていた。 図書館で見つけた、タイトルも表紙も素敵なこちらで小川洋子デビューとさせていただく。 短編集だったこちらの一冊。数話読んで、その書き出しの巧みさに驚く。ぐっとお話の中に引き込むパワーがすごい。 そしてたしかに、評されていたように素敵な文体だった。ものごとの輪郭を、これほどまでに過不足なく、そのうえくどくも嫌味もないさらりとした言葉で、くっきりと浮かび上がらせることができるのか…とふるえた。 また、この方の描き出すお話は、小説でもフィクションでもなく、「物語」と呼びたくなるような雰囲気があった。どことなく親密で、初めましてなのに信頼ができてしまうような空気。人間の、人生の暗部のようなものが提示されても、童話を読んでいた幼いときのように「はいはい、心得ていますよ、この先こういうことに出くわすかもしれないのね」と肝に銘じる感覚というか。 「ダイアナとバーバラ」がいちばん印象に残った。
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