約束された移動

18件の記録
- 月日@tsu_ki_hi_2025年5月13日読み終わった@ 電車小川洋子さんの本を読んでいる時の自分は、いつもなら見過ごす景色を、聴き漏れる音を、こぼれ落ちてく光を、何も見えない暗闇を、本棚の隙間を、平らかな心でじっと見つめることができる気がする。その時発見した気持ちを、見せびらかさずに、自分のなかだけで大切に持っておける気がする。自分だけの役割、信じる本物。 そういう独白を、隣で聞かせてもらっている気持ちでずっと読んでいた。恥ずかしそうに、少しだけ誇らしげな、小さな声に耳をそばだてる。 巨人の声が小さいのは、死者に向かって語りかけているからだ。死者はとても耳がいいから、小さい声で充分なのだ。/「巨人の接待」より