
くま吉
@kumakichi___
2026年6月28日
空、はてしない青 上
メリッサ・ダ・コスタ,
山本知子
読み終わった
若年性アルツハイマーに罹って2年しか生きられなくなった主人公エミルが、不思議な同行者ジョアンヌと一緒に様々な場所へ旅をする話。
過ぎてしまったことは変わらないけど、それをどう捉えるかはいつでも変えることができる。主人公のエミルが初めて自分の過去を赦した瞬間、すごく綺麗でじんわりした。どうにもできない悲しいこと、トラウマ、怒り…色んな出来事があるけど、それをそのまま閉じ込めておくか、見る視点を変えて成仏させていくかは、結局のところ自分次第なんだなあと思う。旅を通してエミルがそれを学んで、読み手である私はこの本を通してそれを学んでる気がする。
同行者のジョアンヌとの静かなやりとりもすごくいい。自然の描写とジョアンヌとの会話が自由を感じさせてくれるというか…。特に最後のパーティーのシーン。今、目の前のものをちゃんと感じること。小さなものでも当たり前のものでも、時間をかけて向き合うこと。私もエミルと同じで全然できてないな〜と気付かされた。忙しない日常で生きていると、色んなことを知らないうちに「消費」してる感じ…?SNS見てYouTube観て情報と刺激を浴び続けて…。常に足踏みを絶やさないで生きてたのかも、と振り返ってみて思う。
本を閉じた後、ジョアンヌを見習って日々をゆっくり味わってみようかなと、前向きな気持ちになれた。梅雨で気分が沈みがちだったのもあって、世界がちょっと色付いた感じ。
反面、エミルが記憶を失っていく過程とそれによってパニックや不安に陥る姿はちょっと切なかった。悲観しすぎるのはちょっと違うと思うから、下巻でエミルがどう向き合っていくのか、エミルとジョアンヌはどう生きていくのか、見守っていきたいな〜。