サカキ "なつのひかり" 2026年6月29日

サカキ
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@sakaki0825
2026年6月29日
なつのひかり
なつのひかり
江國香織
決して爽やかじゃない、湿度を纏ったじめじめとした夏のファンタジー。後半に出てくる洋一の存在だけはとても爽やかで現実的で、一気に息苦しさから解放してくれる。 「晴れた真昼の日盛りよりも、こんな風に曇って湿度の高い遅い午後の方が、夏の息づかいというか体温というか、ある種邪悪な匂いが濃いと思った。」 幸裕(裕幸)を囲むものは大人のどろどろとした関係なんだけど、どこか非現実的だからか嫌な感じはしなかったし、栞によって閑話休題のように挟まれる昔話が最初は気になったけど、徐々に兄妹の関係性を理解するものになっていてよかった。 それぞれの登場人物のなかで何かが失われたのは確かなのだけど、後ろ向きな意味ではなく、それでも折り合いをつけて生きていくという微かな希望を見せてくれるところが江國香織作品の好きなところかもしれない。 あと銭湯に行ってナポレオンに会いたい。 「七秒後、私たちは連れだってトイレに立った。恋愛ではない。それでも、そうせずにはすまされない、ということがあるのだ。私にも洋一にも、犬にも象にもかたつむりにも、たぶん。」
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