
咲
@mare_fecunditatis
2026年6月28日
華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ,
伊藤典夫,
小野田和子
読み終わった
「本を燃やす」ことは、ひどく象徴的な意味を持つ。
智慧を、人間を、思考を、燃やしている。
「黒人は「ちびくろサンボ」を好まない。燃やしてしまえ。白人は「アンクル・トムの小屋」をよく思わない。燃やしてしまえ。誰かが煙草と肺がんの本を書いた?煙草好きが泣いてるって?そんな本は燃やしてしまえ。平穏無事だ、モンターグ。平和だ、モンターグ。忘れてしまえ。ぜんぶ燃やしてしまえ、なにもかも燃やしてしまえ。火は明るい。清潔だ」
「いろいろなことに、なぜ、どうしてと疑問を持ってばかりいると、しまいにはひどく不幸なことになる」
「いつか、取り込んだものは長い時間をかけてしずまり、落ち着き、そののちにおれたちの手や口に出てくる。おれたちは、きょう、歩きはじめる。そして世界を見て歩く。世界がどんなふうに歩きまわり、話すのかを見る。見たものがおれのなかにはいるときには、そいつはまるでおれじゃないが、しばらくたって、はいったものがおれのなかでひとつにまとまると、それはおれになる」
「いつの日か、充分な量を記憶したら、史上最大のとてつもなく巨大な蒸気シャベルをつくって史上最大の墓穴を掘り、そこに戦争を放りこんで埋めてしまうんだ」
「火はいいなあ。なぜだと思う?年なんか関係なく、誰もが惹きつけられるのはなんでだ?それはな、火が永久運動だからだ。火とはなんぞや?その真の美は、責任や因果関係を破壊してしまうところにある。問題が重くなりすぎたら、炉にぶちこめばいい」
本という形の記憶媒体が失われたら、思考の形も、共感の形も、悲しみの形も、きっと変化する。
都合の悪いものを忘れること、見て見ぬふりをすること、見栄え良く改ざんすること。
人は、世界を、自分の受け取れる形に削ぎ落としてしか、見ることができないから。
もっと、本を読もう。

