
かもめ通信
@kamome
2026年6月29日
預言者の歌
ポール・リンチ,
栩木伸明
読み終わった
1977年アイルランド生まれの作家が、シリア内戦をイメージしながら描いたというディストピア小説。段落の区切りがなく、会話にかぎ括弧もなく、章のタイトルもない文体が、行動も会話も胸の内も一緒くたに大きなうねりとなって押し寄せてきて、渦中に読者を引きずり込む。幾度となくページをめくる手を止めて、深呼吸を余儀なくされた。だってこれまさに、右傾化が進む、日本の、世界の、行く末を描いた「預言」のような物語なのだ。この歌は変えられぬ未来を「預言」するものではなく、警告を含んだ「預言」だととらえ、実現する日が来ないことをひたすら願いながら本を閉じる。なんとも恐ろしい物語だった。




