
yuho
@yu_yu_00
2026年6月29日
ファイア・ドーム(下)
辻村深月
読み終わった
この本を読んでいくうちに「ミステリーだけどミステリーじゃない」と感じました。
なんというか、事件も気になるし犯人も気になるし、展開が気になってとまらないのだけれど、メインはそこじゃない。
人間そのものが最初から最後まで、深く深く、丁寧に書かれていました。
物語のテーマとなっている「噂」についても、「身近な場所で起きた事件に対する興味や好奇心」がいかに人を傷つけて、真実から逸れていくのかという痛み、「人間の危うさ」を思い知ります。
でも、その「危うさ」は一部の人間にあるものではなくて、人間のなかにあるもので、言ってしまえば誰のなかにもある。(わたしのなかにも)
特定の誰かの問題として糾弾するのではなく、そこを冷静に書かれていたのがすごいと思いました。
そして、その人間の「危うさ」だけをクローズアップするのではなく、同時に人間に備わっている「温かさ」にもちゃんと目を向けていく。
そのバランスが本当に素晴らしくて、そこがミステリーだけで終わらない部分に感じます。
(上巻・下巻とボリュームがありますが、事件の真相が明確になったのが、想像していたよりも早かったです。
残りのページ数を見て、ここから書きたいことがあるんだ、という辻村さんの気迫みたいなものを感じながら読みました。)
特に、おじいさんが山で言った「ありがとう」のところ。(かなりぼかしてます)本当に心に残りました。
あと、記者である中心人物がこれからの自分の仕事について、記者としてどう生きていきたいのか、事件を通して気づいていくところも涙が出ました。
読んでよかった本です。
【危うさと温かさ】【人間】

