阿久津隆 "土にまみれた旗" 2026年6月20日

阿久津隆
阿久津隆
@akttkc
2026年6月20日
土にまみれた旗
ベイヤードにクリスマスの朝が訪れ、それから迷惑な滞在をして、馬車に乗せてもらって、どこに向かうのかわからない列車に乗った。すると最後の部に入ってホレス・ベンボウが駅に行って、何か箱を受けとって、小エビが入っているとのこと。ああ、そうだった、と思い出して、『サンクチュアリ』でもベンボウは小エビの入った箱を受けとって、ぽたぽたと道を濡らしながら家まで運んでいく、そのことに嫌気が差して家を出た、そういう話があった、これがそれかと思って、ホレスが木箱を抱えて歩く様子を眺めた。 p.502 腕は痺れてきていたが、一つ目の目標である―そこで最初に持つ手を替える―消火栓は、まだ一〇〇ヤード先だった。そこに到着して木箱をもう片方の手に持ち替えたときには、指はいっさいの感覚を失い、二頭筋は袖の中で少し痙攣していた。こうやって、肉体訓練に関する理論がすべて誤っていると証明するのだ。この調子でいけば、これからの毎週火曜日、持つ手を替えずに少しずつ先まで行けるはずだし、やがてクリスマスまでにはずっと手を替えずに家まで荷物を運べるだろう。そして一〇年後のクリスマスには、こいつらがやって来たガルフポートからずっと運べるだろう。もしかしたら賞がもらえるかもしれない。少なくとも、名前のあとに続く文字が増えるだろう。CS。小エビ運搬人(Carrier of Shrimp)。H・ベンボウ、MA(文学修士)、LLD(法学博士)、CS 汝さらに幸せなりし こんな生活、そりゃ嫌になるわ、という感じだった。そのあとはナーシサとミス・ジェニーの場面で、やはりベイヤードは帰ってこず、どこかに行ってしまったみたいで、だからふたりで過ごしていて、ミス・ジェニーに耄碌の現れを感じたナーシサがショックを受け、僕もショックを受け、ナーシサをひとりにしないでほしい、と懇願するような気持ちになって、眠気がなかなかやってこず、随時、明日は試合だ、といううっすらとした緊張感、高揚感のようなものがあり、これはなんだろう、と思ってから読書を続けて、『サンクチュアリ』の酒場みたいな酒場が出てきて、そこでベイヤードは冷たい目をして酒を飲み続け、それから翌日、「みすぼらしい男」とだけ呼ばれる男とベイヤードが飛行場にいる場面に移って、ああ、飛ぶのか、そうやって終わらせるのか、と思って、今日はここでやめることにした。今日はまだ、その出来事に触れたくなかった。
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