
和月
@wanotsuki
2026年6月29日
粉瘤息子都落ち択
更地郊
読み終わった
えー……まさかこんなに面白いとは……という予想を遥かに上回る読後感で嬉しい。
上半期ベスト最大の番狂わせかもしれない。
どういうあらすじの本ですか?と聞かれても、絶対この面白さを十分に伝えられない気がする。
とにかく読んで!と言いたくなる本。令和の文学を読んだなぁ、という新鮮な気持ちになる。
言語センスや主体の思考を落とし込む文の連なり、一定速度で進み続けるのに突然ギアがかかったりする緩急の付け方、全てがエキサイティング。楽しい。
漫才と純文学と若者のSNSコミュニケーションを良い感じにMIXしたような、何とも形容し難い面白さに溢れている。
例えば
「エクセル人間になる適合手術にも失敗して、一年目が終わる頃には会社という独裁国家でエクセル部族による村八分を食らっていた。」
この何とも奇天烈な物言いでありながら、意味はきちんと伝わってくる文の癖が良い。普段生きていて思い浮かばない言葉達がぽんぽん飛び出てくる所が面白いのかもしれない。
また、登場人物達の温度感が終始一定なのも新鮮。喜怒哀楽の生温さというか、壮絶な地獄エピソードも小躍りしたくなる出来事も、若干眉を寄せて気まずい空気を漂わせつつ何となく有耶無耶になる。このさじ加減が絶妙で、分かりやすさの対極にあるような感情の起伏が読んでいてとても好ましい。
そんなに明るく楽しい話でも無いのに、何故か青春小説を読んでいるような爽快感、軽やかさに包まれている作品。聴きたくなる曲、やりたくなるゲーム、行きたくなるレストラン、買いたくなる飲料。何故か読み終えてちょっとだけ元気をもらえる。すっごく良かったので著者の次回作も大大大期待!


