ユメ "一瞬の風になれ 第二部 -ヨ..." 2026年3月23日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年3月23日
一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイー
個として速くなること。そして、チームとして速くなること。その双方の目標をひたむきに追求してゆく新二の喜怒哀楽に、私の心も強く揺さぶられる。本書を再読するにあたって『夏から夏へ』を先に読み返してあったので、「4継は信頼の競技である」ということがいっそう感じられて、前巻同様、何度も涙が溢れた。 チームとしてバトンを繋いで走ることには、個人戦とは異なる苦しさもある。だが、その分の喜びも確かにあって、レースのたびに両方の感情を味わってゆく新二が自然と「一期一会」という言葉を思い浮かべる描写が実にいい。 私は、ひとからひとへと想いが受け継がれてゆく姿に人間の素晴らしさを感じるので、守屋さんが新二に部長を託すシーンがとても好きだ(『一瞬の風になれ』は本当に、好きなシーンを語りだすと枚挙にいとまがないのだけれど)。連という自身よりすぐれたスプリンターが部に飛び込んできたことで悩んだ守屋さんが、部長として、また一競技者としてどんな心持ちで日々走ってきたのかが伝えられる台詞が、新二だけでなく私の胸にも実直な説得力を持って沁みてくる。連が、この先輩のために怪我を押してでもリレーを走りたいと望んだのもよく分かる。「ここをいい場所にしたかったんだ」という守屋さんの想いは、言葉にする前からきちんと新二にも連にも届いていたのだ。 健ちゃんが交通事故に遭うくだりは、何度目の再読であっても辛く苦しい。走るエネルギーを失ってしまった新二が立ち直るきっかけとなるのが、チームメイトたちの出場する駅伝であることにも、仲間と想いを共有することの尊さを感じてたまらない気持ちになる。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved