本の虫のミノ "容疑者Xの献身" 2026年6月30日

本の虫のミノ
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@hon-
2026年6月30日
容疑者Xの献身
物語の終盤ではページを捲るにもうまく捲れず、文字がぼやけてなかなか読み進められなかった。石神の底知れない愛情、靖子の葛藤、湯川のやりきれない気持ちが繊細に書かれている。考えなければならないテーマを一気に提示されたような気分だ。p381で、石上が靖子に渡した文書の内容が語られる。かつて嫉妬心を抱いたことのある人間を認め、自分を自殺から救ってくれたともいえる、愛してやまない靖子とその娘を、自分の手の届かない場所でもいいからとにかく幸せだけを願うという行為は、常人には底知れぬほどの愛情、いやそれすらも遥かに凌駕してしまうものであろう。 P≠NP問題を巧みに使い、それを通じて学者としての湯川と石神の信念が感じられた。これは傑作である。ミステリーの皮を被った純愛ものともいえるだろう。
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