
ハム
@unia
2025年3月26日

世界の適切な保存
永井玲衣
読み終わった
「水中の哲学者たち」でもその問題意識が出ていたけど「世界を適切に保存」したいという想いがあるからこそこのようなまなざしが意識されるのだろうなと思う。
詩人の世界の切り取り方やそれに対する著者の思い、ありふれたなんでもないところに目を向ける心地良さが優しい気持ちにさせる。
一方で、戦禍や災禍といったままならない様子に対しても変わらないスタンスで向き合う著者の在り方に一貫した問題意識の強さを感じる。
〈ままならなさを生きることで何かを言い当てることができる。
現実は不自由さによって照り返される。〉
見ることで変えていく。不適切に保存された世界をまた見て、変えて、自分と共に生きていくその過程に適切な保存があるのかと思う。
W杯を決めたサッカーの試合後に選手たちが体を冷やさないようにベンチコートを着ていたのを見て、あの汗だくの状態で着たベンチコートのケアはどうしてるのかと気になったのだけど、
本書で余計な心配をする人のエピソードで語られていた野球の話とまんま似たものがタイムリーに自分にもあってそんな感性を持つ芸人や詩人、著者に親近感が湧いた。


