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@unia
読んでいて特に印象に残った語りたい作品をピックアップ。
  • 2025年7月9日
    室生犀星詩集
    室生犀星詩集
    イカゲームを見終わって、おもしろかったけど救いがなくて暗澹たる気持ちになってるなかで読んだ室生犀星。 優しく寄り添う態度がなんとも心にしみいる。 悲しさや疲れがあってもそれを真っ直ぐに受け止めるだけで救われることもあると言っているかのようで、余韻とともに癒やしがある。 ただ黙ってそこにいてくれる。 表現しているのにそんなふうに感じる詩集でした。
  • 2025年7月6日
    家出のすすめ
    家出のすすめ
    「禁じられた恋」のくだりで、語り継がれる「ロミオとジュリエット」から「君の名は」までというのが出てきて、寺山修司って昭和に亡くなってるよね、なんで「君の名は」??脳がバグる事態に。 調べてみると新海誠ではない「君の名は」があるという。知らなかったからすごい違和感で混乱した(笑) 〈私は、こうしたサザエさんのエロチシズムへの無関心と「家」への忠誠が、一夫一妻の死ぬまでのものだとするあきらめから出発していることが、この漫画の最大の特色であると考えます。〉 そんなふうにサザエさんを見たことないな。 〈一年のうちの一日だけを「犯罪の日」として、あらゆる犯罪を公認にする……というものです。この日は不義、不貞、殺人、放火、強盗、スリ、万引、何をしてもよろしい。〉 役所に届けて許可証をもらって、被害に遭いそうな人は事前に逃げろと。 これで普段の溜め込んだ欲の捌け口となり総じて犯罪は減るってホントか? すごく真面目にふざけて評論してて、今の時代にそぐわないものも多いんだけど論じること自体は自由よね。 寛容という意味を履き違えた現代が息苦しいのはこういうところをなんでもすぐアウトにすることだなと感じた。
  • 2025年7月4日
    文豪と犬と猫 偏愛で読み解く日本文学
    おもしろい。 犬派か猫派で文学批評。 ガチガチの評論では見えてこない魅力がある。 谷崎潤一郎、室生犀星、内田百閒などの猫派にやたらと興味をそそられた。というか猫派を担当してる山本莉会さんの文章が良い。 谷崎潤一郎の在り方についてだったり、室生犀星の評価だったり、犬猫からの人となりを通して作品を読みたくなる。 「人間はその生涯にむだなことで半分はその時間を潰している、それらのむだ事をしていなければいつも本物に近づいて行けない」という室生犀星の作品の台詞、いいな。 深掘りしてみたくなった。
  • 2025年7月1日
    貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」
    なんでできないの?なんでわからないの?みたいなフレーズを言わないまでも思うことは多い。 「不自由な脳」というコントロールできない状態にある人に寄り添うためにはまず知ること。 知らなければ本当にただサボってるとして自己責任を問う態度をとってしまいそう。というかとってたなと自戒の念… 著者は自らが病気にて同じ境遇に立つことで理解を深めていったけど、実際問題としてなかなか言葉だけではその感覚の理解は難しいと思う。 お互いにストレスを溜めないためにはこうした人たちがいることをきちんと受け止めなきゃなんだろうが、この手の問題が目立ってくるのもなんか殺伐とした社会であるがゆえにも思えてなんだかなぁと思う。
  • 2025年6月30日
    闇を泳ぐ
    闇を泳ぐ
    全盲というのがどのような世界なのか、本書を通して理解し、想像はできても実際にその人生を生きることなしにはわからないだろうと思う。 読んでいると、見えているかのようにけっこう普通に生活をしていることに驚く。 自分がもし同じ状況にあったとしたら、その境遇に対応できる自信はないな。 制約の中でどうするかというマインドが常に働き、ストイックに行動する姿には心打たれる。 これだけすごい人間力を持って成功しているようにみえて、普通の人と同じような考え方や行動をとって失敗も多くしている姿には親近感も湧くけど、さすがの金メダリスト、芯がある。 何がすごいってこの本が書かれた当時はまだ金メダリストではなかったという事実。 でもこの延長線上に金メダルが約束されているかのような、取るべくして取ったと思えるくらいのものをこの本には感じた。
  • 2025年6月28日
    Black Box
    Black Box
    男性の、男性による、男性のための社会構造が根深い。 双方の言い分があるにしても女性というだけで不利な状況にあるこの構図はどうしたって問題だと思う。 被害者に対してよくある原説として、二人っきりになるから悪い、露出度高い服を着てるから悪い、すぐに警察に行かないから悪い、って本気で考えてる人がいる時点でもう… 歪な縦割り構造もやばいなぁ。 権力をもってると本当にもみ消すみたいなことができてしまうのだろうか? ドキュメンタリー映画が日本で公開されるのであれば見てみたいけど、この一件で伊藤詩織さんの印象が悪くなってしまったのは残念。 信念を貫くその姿勢のために前のめりになりすぎてる感はある。でもでもどこか印象を悪くしようとする相手側の意図もあるんじゃないのかとか、この本の内容が事実ならさもありなん。 もやもやする。
  • 2025年6月27日
    猫と生きる。
    猫と生きる。
    〈言葉に頼らない存在を提示する猫は、言葉に頼りすぎて魅力的な仕草を欠きがちな人間に、「エレガントじゃないね」と鼻を鳴らす。〉 人間は言葉があるゆえに深く理解できる一方でその言葉でもって傷つけ合って疲れていく。 言葉なしでのやりとりをもたらす猫が癒やしなのはこうしたコミュニケーションにあるとするのは頷ける。 猫を猫として、人間とは異なる時間軸で生きていることを尊重する著者のスタンスは素敵。 家族として迎えて人間と同じ感覚で接することは必ずしも猫の幸せに繋がらない。 人間のエゴの押し付けを気をつけようとする感覚は意外と難しいものだと思う。 「生きる」ということと向き合ううえで大切なことは何か。 人間だけの世界ではないことを忘れがちなのは気をつけたい。 猫に対しての様々な取り組みが最後に紹介されていたのも良かった。
  • 2025年6月25日
    悲しいことのひとつもないくせに
    なんとなしに読んでみた詩集。 今にも降りそうな曇り空に あなたは濡れなさい まだ降ってもいない雨に あなたは濡れなさい 矛盾のある言葉だけど「今」という時間に感受性を全開にする意識みたいなものなのかな。 妙に引っ掛かりを感じてあれこれ思考を膨らませてみた。 未来なんてわからないものは考えるだけ無駄というスタンスがある一方で、この詩は未来の気配に対する身体的な態度を言っているようでもあってその辺りがモヤモヤっと思考の渦に導いてくれた。 こうした引っかかりやモヤモヤは大事。
  • 2025年6月24日
    謎床
    謎床
    日本人の「見立て」についての議論からの着地が「嫁は二次元でいい」と初めて言ったのは日本人じゃないかというのはおもしろい。 ゲーム、アニメといったものが日本に根差している必然みたいなものを感じた(笑 松岡正剛さんが諦めた「鉄学(てつがく)」、「尾学(びがく)」、なんてハイセンスなのか。冗談のようで芯を食ってるというか、すごい(笑 ドミニクさんもめちゃくちゃすごい知識量なのに何を聞いても当然のように知っている松岡正剛さんの知の巨人っぷりが、ほんと頭の中どうなってるのか。 メディア論にて「ベイマックス」がメディアの悪い方向性の極地みたいな話をしてて、松岡正剛さんが「気持ち悪い」と一蹴してるのだけれど、「ベイマックス」を好きな作品としてる人が多いことがまさに気持ち悪いの証左となっている。「ベイマックス」に対してそういった見方もあるのかとここでも驚く。 日本語だし、対談形式だから口語なのにけっこうな頻度で何を言ってるの?みたいな意味が取りきれないことが多いのにそれがまた良さでもあって。 発酵というキーワードにふさわしい超絶ハイコンテクストな対談。 めちゃくちゃ良かった!
  • 2025年6月20日
    MONKEY vol. 36 特集 オーイン・マクナミーという謎
    MONKEY vol. 36 特集 オーイン・マクナミーという謎
    オーイン・マクナミーという作家を初めて知り、初めて読んだ。 アイルランドの作家で、文体にかなり国の歴史的な背景が色濃く出ている感じがあり、日常のちょっとした風景にもどこか張り詰めた空気や重たい余韻が宿っていた。 純文学のようで、社会や政治に対する思いが滲んでいるようでもあって、キレがあるなんてのがぴったりはまる感じ。 ストーリーに起伏があっても激しさを感じさせない静かに燃えたぎるような筆致も魅力的だった。 作品のどれもが周縁化された存在や、抑圧された記憶の中にある美をすくい取る感性のあらわれに思えたし、「見捨てられた人々」、「国家に傷つけられた人々」の中に、光を当てるというより陰影の美を見出すような詩的でおしゃれな表現がすごく印象的でした。
  • 2025年6月19日
    水脈を聴く男
    水脈を聴く男
    伏線かと思う多くが回収されずに気づけば物語は終わっていた。 ここから思うのは、回収されない伏線で溢れているのが人生で、むしろそうした伏線になるかどうかのところに人生の厚みや深みが関わっている気がするということ。 本作は「水」との関わりがテーマとして一貫していて、現代の人と自然の関わり方を象徴するようにも読めて、思うところがある。 一見すると宗教や文化を背景とした閉じた共同体の話だけど、広く人間全般に当てはまることとして時代や文化を超えても変わらない人間性が描かれているようにも思えた。 地域性や特殊性を丁寧に描くことによって、逆に人間共通の姿が見えてくる。 そんな魅力を秘めた作品。
  • 2025年6月18日
    さみしくてごめん
    彼女の作品を読むのは三作目。 改めて思うのは、島本理生さんの作品との親和性があるということ。 永井玲衣さんは哲学をツールとして使うというのではなく、哲学に考えさせられているという態度を取っている。 ここにはなんでもすぐに役に立つか否かの実用主義的な考えに待ったをかける態度があって、成果や答えがあることよりも常に自分を揺さぶってくる感覚を大事にしている様子が本作でも多く伝わってきた。ここは島本理生さんの小説で描かれるものと重なる気がして、だからこそ両者ともにすごく好きなんだなと感じた。 茨木のり子さんの「自分の感受性くらい自分で守ればかものよ」という詩を引用した先生に対して、原典を知らない生徒のひとりが「ばかものよとかうざいんだけど」という反応をしたエピソードに対して永井玲衣さんは、「伝わらないって悲劇なんだけど面白い」と。 こういう身近なところからポップに問いを深めていく一方で、 「世界にはまだ奥行きがあるということを信じられたとき、絶望と希望が生まれる。圧倒されるような果てしなさに膝をつきたくなる絶望と、ここが行き止まりではない希望だ」というように、鋭い感性も発揮されていて、まさにそれこそ奥行きを体現しているようで引き込まれました。 会ったこともない國分功一郎さんもiPadを叩き割るだろうのくだり、シュールすぎて笑えた。 哲学って自由でおもしろいと思わせてくれる。
  • 2025年6月17日
    狩りの思考法
    狩りの思考法
    極地を探検することで自分と向き合い、また、イヌイットの理解に努める姿勢には多くの気づきと学びがある。 イヌイットが言う「ナルホイヤ」的な生き方は、まさに近代化された現代人が心に留めておくべき価値観なのだと思う。 未来なんてわからないのにわからなくて怖くて未来予期という光を求めてしまう。 未来予期という仮象を生きるのではなく、真の現実を生きたい、それくらい生きることに執着する姿勢があっていいと思った。 〈人間が本当に生を実感できるのは、じつはわれわれがなるべく目を背けようとしているそのカオスたる真の現実のほうなのではないか。〉 ピダハンにも同じような考え方があったけど、本当に先進国やら文明人というのはなんなのだろうと思ってしまう。 目先の利便性に幸せを極振りしたところで文明人は闇(病み)だらけ。 イヌイットたちもその進んだと言われてる文明に侵されている様子が見られるけど、彼らの文化や価値観には明らかに我々とは異なる「生」がある。 角幡さんほんといい文章を書くなぁと思う。
  • 2025年6月16日
    一撃のお姫さま
    「一撃のお姫さま」 〈依存させることに依存した君の笑顔は可愛かった 今日もこの街は私たちを奪っていく〉 ホストにお金を使うことは、触れられる権利ではなくて触れなくてもいい権利にあるという気づき。 どちらかが利用し利用されるみたいな構図に見えるものも、実は双方ともに満たされながらも搾取される世界がそこにはある。 その描かれ方がさすがだなと思いました。 改めてなぜ島本理生さんの作品がこうも好きなのか考えてみた。 登場人物の「傷つきやすさ」や「脆さ」が丁寧に描かれている。しかもそれが弱さとしてではなく、繊細であることの強さとして立ち現れてくる感覚がある。 今回の作品でもどの主人公も傷ついた部分を持っていて、でもその弱さを中心としたストーリーの中で曖昧でどっちつかずであったとしてもそれが物語の軸の強さとして機能している感じがある。 弱さを克服したりもせず、必ずしも答えを出さなくてもいいというスタンスが表現されることが多くて、自分が大事にする生き方に深く関わるものがあるからこうも惹かれるのかなと。
  • 2025年6月15日
    一撃のお姫さま
    「God breath you」 〈お腹がくちくなり、休憩してシャワー浴びた。〉 くちくなるって言葉わからなかった。一般的なのかな?小説などでは多い表現らしいけど知らなかった。 〈年齢を重ねることは、いくつもの解を曖昧に自分の内側に飼いならすことでもあるから。〉 思い切ったことをしなくなるんだよなぁ、誰も見てないのに周りの目を気にしたり、社会的や常識的な体裁を考えるようなったり…でも感情だけで振り切るのも必ずしも正しいわけでもなくて。 自然体でいることができるのが幸せなのかな。 「家出の庭」 見ないふりのほうがよほど苦しい。 忙しいは心を無くすことだと言うけれど見ないふりして遠ざけるのは現代では容易なのだろう。それくらい忙しなく動き回ってるし刺激も多い。 でも正しく傷ついて正しく向き合うのが良いことのほうが多い。 短い話ながらかわいらしい義母を中心とした示唆深い話でとても良かった。 ページをめくる手が止まらない。
  • 2025年6月15日
    一撃のお姫さま
    「停止する春」 〈たしかに綺麗に剥かれた四個の味玉がタッパーに入っていて濃い茶色に染まっていた。 生きたいと思うことと、死にたいと思うことに、じつははっきりとした線引きなんてないのかもしれない、と思った。〉 すぐに正常に戻そうとする現代人の悪癖と言っていたけどほんとそうだと思う。 気づいてないだけで誰しも紙一重のところにいるんじゃないかと、自分の気持ちを誤魔化していなかとか考えてしまう。 「最悪よりは平凡」 島本理生さんの描く年上の男性ってみんなイケオジなイメージ。 主人公の悩みの種はけっこう重い気もするがその環境で悪く培ったものが悪循環をなしてる。みんな同じ程度に悩んでいると思って体に悪いことも受け入れちゃうのはあるある。 最後の出会いから良い方向に流れる期待があるのはホッとした。 安定の島本理生さん。 続きを読もう。
  • 2025年6月14日
    和の思想
    和の思想
    〈皿の上の一切れのカステラが和とは何か、日本とは何かという大きな問いを投げかけている。〉 こういう問いの立て方はセンスあっていいなと思う。 和菓子、和服、和食、どれをとっても起源を辿れば外からのもの。 和の歴史を紐解くともともと蔑称の倭を誇りを持って和としたのに、明治維新の流れの西洋化を通して自虐の和を使う皮肉。 そのあたりを谷崎の「陰翳礼讃」から考えるのはなるほどと思う。 〈「徒然草」の「夏を旨とすべし」という一文は日本人の生活と文化すべてに及ぶ鉄則なのではないか。〉 これがおもしろい。 漢詩が崩されて書かれるのも、漢字からひらがな、カタカナが生まれたのも、「間」の文化が生まれたのも日本の蒸し暑さによるもの。 確かにぎゅーぎゅーの漢字だけでは暑苦しい、余白のない絵画だけでも暑苦しい、ハグやキスの挨拶しかないのも暑苦しい。 ここからわかるのは、日本には受容、選択、変容というダイナミズムがあり、こうした創造的運動体こそが和であると。 さまざまな異質のもの、対立し合うものを和ませ、なじませる和の創造力。 著者は俳人であるため俳句と結びつけて語られるのも良かった。 和というフィルターを通して世界を見ることは今の時代においてけっこうクリティカルなんじゃないかと本気で思う。
  • 2025年6月13日
    ドミトリーともきんす
    朝永振一郎、牧野富太郎、湯川秀樹、中谷宇吉郎が泊まるドミトリーの話で、彼らの科学者たる眼差しを垣間見ることができるかわいらしい読書案内。 最後の湯川秀樹の「詩と科学」に表されているように彼らのそれぞれが自然、世界に向き合う姿は詩人のそれと確かに同じで、そうした感受性が偉大な科学者を作るのかと思う。 一見遠く離れたものも繋がっているみたいな感覚は多々あって、というかそうしたことばかりなのかもしれない。 特に中谷宇吉郎の自然に対する畏敬の念がわかるエピソードが良くて、科学者ほど神を信じているなんてのもわかる気がする。 難しい科学に精通していなくても彼らの本を読みたくなる温かい作品でした。
  • 2025年6月12日
    自由が上演される
    ジャック・ランシエールの思想に触れるのは初めてで印象に残った。 コンセンサスは聞くべき声を決めてしまうためにそれ以外の声を聞こえないようにしてしまう、 教育の非対称性と、知を体系化して教えるという構図がそもそもナンセンスだ、 あらゆる声に耳を傾けることで不和を顕現させることが必要、社会において不和はむしろ不可欠とする、など興味深いものが多い。 不和を絶えず発見し続けること、そしてそのうえで自由を可能にする教育を見出すことができるか、それを上演という概念でのみ教育が可能であると説明している。 ランシエール他、ハイデガー、ラバルト、ナンシーと言った思想家を引き、演技と教育を繋いでいくのは新鮮に映った。 〈教育における上演性の徹底、上演を上演することで、舞台上と観客との非対称性を保ちつつ、しかし観客の知性を舞台上の知性に従わせることなく自由に戯れさせなければならない。〉 つまり、上演が通常見落とされてしまうなにものかを現れさせ、なんらかの意味として迫らせる。 世界とは本来摩擦というズレを伴うもので、不和と向き合うことは必然。 ここに自由が立ち現れるという中動態的な視点が見えるのもおもしろい。 教育における自由を考えるとき、自由というパワーワードで語られるのはむしろ不自由だよなと教育に限らず自由の難しさを痛感するところを、ひとつの切り口として演劇論で考察するのはおもしろい視点で、新たな関心領域を多くもたらしてくれた。
  • 2025年6月10日
    ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林
    ハリネズミ・モンテカルロ食人記・森の中の林
    ハリネズミ 精神病の伯父が実はかなり良い味を出していて、世間からの目や評価とは関係なくその存在という力は確かに主人公に届いている感じがいい。 モンテカルロ食人記 主人公の悩みや不安といった描写が秀逸。 クズな叔父との会話を通して湧き起こる心情からの「山月記」ばりの爆発展開がすごい。 森の中の林 三世代に渡るドラマ。ミステリー調に話が繋がっていく構成の妙。 舞台となる瀋陽への縁を思わせる文字通り根を下ろす仕掛けが良かったなぁ。 どの作品も哀愁、郷愁があるというか、いい意味でどこか泥臭さがあるというか、雰囲気が味わい深くて、短い話ながらものすごく濃厚に感じられる。 話を通してその国の文化や空気感を感じることができる作品は読書やっぱりいいなと思えていい。
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