
い。
@hon_i_read
2026年7月2日
響きと怒り 上
フォークナー,
平石貴樹
読み終わった
第1章 語り手 ベンジー
知的障害のあるベンジーの視点から、匂いや言葉によって、彼が経験したことの断片が次々に思い出されていく
実際には彼は言語化しているというよりは印象を思い出しているだけなのかもしれないけれど、フォークナーによって言葉になる以前の感覚が言語化されている
その断片を見る無垢な視線がとても良かった
第二章 語り手 クエンティン
悩みを抱えながらボストンの街を移動しているクエンティンは、途中で子供たちと川で遊んだりちょっとした事件に巻き込まれたりしながら過去を回想している
彼の回想には虚実が入り混じっていると思われる節があり、一体何が本当にあったことで何が彼の願望や妄想であるのか、ある程度までしか推測できない
それでも彼にとっての価値を守るために彼は悩み、そして散歩をしているのがとても美しかった
上巻はこの第二章までだけれども、とても印象的だったのは、何でもない風景が続くなかに、その平穏さのなかに、自分の一大事を抱えた人たちがいて、知らない人たちの営みがある、ということや、何も無いようにみえる風景の中に個人の物語があること、そういうものが世界だと言われているようで、少しだけ世界の見え方が変わったような気がした
思っていたよりも読みやすく、句読点の消失や時間の飛躍、説明のない場面転換等は、まあそういうもんか、と思いつつ読めばあとから分かってくることが多かったです
あと、訳注をその都度確認するとロストすることがあまりなく読めると思いました