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読書の記録です 詩集、哲学、人文が多め でも何でも読みます
  • 2026年8月24日
    ポケットアンソロジー 岸波龍・選 私家版詩集アンソロジー
    ポケットアンソロジー 岸波龍・選 私家版詩集アンソロジー
    私家版詩集をあまり読んだことがなかったのですが、5人それぞれ2篇ずつ読んでみて、好みはもちろんありますが、良いなと思うものもあり、全体としては商業出版の詩集より探し出しづらく、手に入れにくいということ以外には、そこまで大きな差はないように思いました その詩人がどんな詩を書く人なのか、どんなことを切実に書いているのか、といったことが分からないため、私家版の詩集はなかなか手を出しづらいところがあります こうやって少しずつでも読む機会があるのは、とても嬉しいことだと思いました また、このアンソロジー自体は冊子なのですが、それを挟んで小さなハードカバーの本にできる外側も一緒についていて、自分で本にできます 冊子を読むのと、本の形をしたものを読むのでは、何かとても感覚が違い、物理的な本という説得力を感じました
  • 2026年8月21日
    かみのけの川
    かみのけの川
    この詩集に収録されている作品はⅠが現在に近い時期に書かれたもので、Ⅱは詩を書き始めた15年前からの初期作品になっている しかし、書かれていることはそこまで大きく変化しているわけではなく、集団の中の自分と個としての自分の距離感や痛み 成長というよりは、変化していく時間や気持ちが描写されているように思った 多用されるリフレインがとても切実に迫ってくる 小さな出来事やものに目を向けて、変わりゆく事柄の萌芽、ゆるやかで曖昧な変化が繊細に描かれていてとても良かった また読みたいと思います
  • 2026年8月21日
    私が四番目に愛する季節
    私が四番目に愛する季節
    詩人ハン・ジョンウォンが8月の1ヶ月間をエッセイ・詩・写真で綴ったもの タイトルの通り、作者が4番目に愛する季節である夏の毎日について、その日起きた出来事というよりは、その日に思い出した出来事が語られていて、それは情死した人たち、事故死した人、射殺されたライオンや檻に閉じ込められた犬など、死や喪失、苦悩や愛を中心にしていて8月や夏の持つ楽観的なイメージからは程遠い しかし、文章や詩が静謐で美しく、エッセイは散文詩のようで、重く陰鬱な内容でも言葉が届いてくる 冬の情景が美しかった第一作「詩と散策」もとても良かったけれど、ハン・ジョンウォンの描く夏も美しかった 韓国では詩集も出ているようなので早く日本語訳が出たらいいなと思っています
  • 2026年8月19日
    善悪の彼岸
    善悪の彼岸
    「善悪の彼岸」は「道徳の系譜」の直前に書かれ、密接な関係にある為にもしかしたら道徳の系譜よりも先に読むべきだったかもしれないけれど、道徳の系譜で扱われる、良い悪いとは誰が言うのか、従来の道徳の批判等のというは明確に善悪の彼岸に既に現れていたので、主問題がどこにあるのかという点については道徳の系譜を先に読んで良かったように思いました しかし、善悪の彼岸で扱われるの問題は、より広範囲で、哲学者や思想への批判、道徳即ち善としないこと、更にはニーチェは従来の道徳の代わりに精神的な貴族性というものを善として、高く評価している つまり、ニーチェは人間の平等を解くわけではなく、人間には様々な差異があり、その差異を認識した上でどう振る舞うことが最善となるのか、を貴族的精神を中心に置くのだと思う 一見極端な思想に見える可能性もあるけれど、かなり冷静で客観的で、誤解を恐れずに言うならばとても生き方の指針になるような本でした
  • 2026年8月14日
    ASAPさみしくないよ
    再読 久しぶりに読んだら前よりも印象的でとてもよかった 軽い言葉や出来事をあえて使いながら、都会や現代を捉えようとしているように思えた そして、随所で、別の時代や時間が「今」と並行して流れ、別の世界線や場所が並行して在るようにみえる それらの「別の」があることで「今」がより明確に見えるように思った そして、とてもかっこいい一行がたくさんある こういう軽さと深さの混じりあった詩集もとても好きです
  • 2026年8月13日
    IDOL
    IDOL
    70年後の未来からやってきた双子が現代日本のメンズボーカルグループに加入する物語 町屋良平だからそのSF設定やボーイズバンドに何か意味があり単なるアイドル青春小説ではないのだろう、なぜなら町屋良平だから、という期待を軽く裏切り、クイック・ジャパンでの連載を元にしているということもあるかもしれないけれど、シンプルに王道のエンタメ小説だった それでもやはり人の描き方がとても上手くて一気に読んだ
  • 2026年8月12日
    海を覗く
    海を覗く
    三島由紀夫が好きだと公言している著者が、内省的な文章で、美とは何か、ということをテーマに、主人公が美を見出した同級生への感情について考えていく物語 主人公は、その感情を「美とは何か」という問題として捉えようとするけれど、次第にそれが恋なのだと知っていく、という話だった
  • 2026年8月11日
    反ミーム部門は存在しない
    概念を扱うSFも、忘却を扱うSFもあるけれど、反ミームという概念的な異生物と忘却しながら戦い、戦争が始まる前に戦争を終わらせるという反ミーム部門という組織の話 元々はWeb上でSCP財団というものの為に書かれたものらしく、「超常的な存在を回収・秘匿しているSCP財団と呼ばれる組織を題材にした英語圏発のシェアードワールド創作プロジェクト」らしいです それを知った上で読むと、より楽しく読めると思いました かなり面白いです 今までの概念を扱うSFとはまた違う雰囲気のもので、色々な読み方ができると思いました。反ミーム部門というものが何と戦っているのか、もしかしたら自己循環的な構造になっているのかもしれない、という読み方や、「幼年期の終わり」への接近を感じる雰囲気もありました
  • 2026年8月7日
    ういろう探し
    ういろう探し
    なんとなく日常におきた出来事が突然詩になるんだなぁ、と思って読み進めていたら、別の詩では現実と空想の境界が曖昧になり、フィクションが混じり始める それなのにまだ現実なのか違うのかという境界は曖昧なまま、また別の詩では、時間を持たない人達が現れるのではないかと言ったりしつつ、それまでにこの詩集に出てきた出来事を長編詩に内包させたりしていて、何が発端でどんな時間経過を辿ったのか曖昧で、現実、思い出、夢想、時間の境界線が薄れていく詩集でした とても淡くて、それなのにセンチメンタルな痛みの少ないとても明るい詩集で、また読み直したいと思います
  • 2026年8月6日
    道徳の系譜
    道徳の系譜
    第一論文 「よい」とは何かということを、誰が「よい」と言ったか、へと問いを変え、そこで貴族的思想の「よい」が、僧侶的思想の「よい」へ、つまり、価値を作る方法が変化したことを批判している 第二論文 ニーチェは「良心」とは別に「疚しい良心」と定義していて、人間が自然にもつ感情ではなく、本来人間は攻撃的で、外部へ放出できなかった残虐性が内側に向かうことで現出する、と考える 第三論文 禁欲主義的理想について 突き詰めていけば無の思想ということになり、禁欲主義的理想は、禁欲のみが真理に到達できる、故に無への意志である、と批判する この道徳の系譜で示されるものは論理的でないとは言わないが、前提条件を仮定した上でそれが真とするならば、人間は「よい」ということの価値転換から生まれた疚しい良心によって禁欲主義的になり、無へ向かっている、という系譜が示されている ニーチェによる解決ではなく、警笛なのだと思う。そしてその本来的でない美徳「よい」に順応してしまったことへの批判の本として読んだ この文化的な背景からの価値の転倒が、大きく人間の思考を変えてきた系譜というのは興味深く、そして現在にも共通する価値観となっていて、それを否定するわけではないけれど、疚しい良心に従わない価値というものから現出する罪悪感は必然性を本当に持っているのか考えなければいけないのかなと思った
  • 2026年8月4日
    Jason Fourthroom
    Jason Fourthroom
    久しぶりの再読 これは長編詩なのか、という疑問はありそうだけれど、平易な言葉で隠喩的表現も少ないかわりに、意識や感覚、気配等の小さな繋がりでパラグラフが変わった時に出来事が変わっていき、それはとても詩的なのではないかと思う 僕・彼女の2人は、奈津川君という概念、ウサギという実態へ引き寄せられながらあやうい恋愛をしている とても青春っぽい不健全さが良くて、時々読んでいます
  • 2026年8月2日
    ニーチェと哲学
    ニーチェと哲学
    ドゥルーズによるニーチェの再解釈 冒頭1・2章では、ニーチェの用いる概念が整理され、ヘーゲル的な否定の否定に対して差異の哲学としてニーチェが位置づけられるなど、ドゥルーズ的なニーチェ解釈の土台が築かれていく その後も、力と力への意志を中心概念として捉え、肯定と否定の意味、そして否定から生じるルサンチマンや疚しい良心の拒絶が語られる さらに超人は定義し直され、ニーチェはニヒリズムを徹底することでそれを乗り越えた哲学者として解釈される これはニーチェの解説というよりは、ドゥルーズによる再構築と言った方が良いのかもしれない ニーチェの全仕事を前提とし、そこから一つの思想の運動として意味を抽出していく これはドゥルーズによるニーチェの肯定で、読み進めるうちに、ニーチェの凄さを実感してくる ドゥルーズを通して読むことで、今まで僕にはよく分からなかったニーチェが、ものすごく偉大な哲学者に見え始めた つまりあらゆる問いを疑い、「何か」を「誰が」という問いへと転換し、ニーチェは、過去の哲学者たちが無意識に前提としていた価値判断そのものを問い直し、問いの立て方そのものを変え、 そして、その必然として神を殺した、すごい哲学者なのかも、と 改めてニーチェを読もうと思いました
  • 2026年7月23日
    地雷グリコ
    地雷グリコ
    青春小説であり、ゲームであり、そして更にゲームをいかにメタ化するか、ということが、成り立っているとても面白い小説でした
  • 2026年7月23日
    メノン
    メノン
    ソクラテスがメノンと「徳は教えられるのか?」という議論をする。しかし問いはすぐに「徳とは何か?」へと移り、知識等、様々な可能性が議論され、それは単なる言い換えなのか、それとも問いの深度が変わったと見るべきなのかを中心にして展開していく さらに今度は、「知らないものを探求することは可能なのか」という問いが現れ、これに対しては、魂は元々知っているという想起説が提示される 僕にはこれは、ソクラテスの「知っているものは探求する必要がなく、まったく知らないものは探求することもできない」という前提を踏まえ、探求の対象とは「知っている」と「知らない」の中間的な状態にあるものだ、ということを示そうとしているように思えた 後半ではまた「徳は教えられるのか」という問いに戻るが、僕には「徳とは何か」という問いも含め明確に解決されていないように感じた しかし、問いを立てることの難しさや、問いが成立するレイヤーを見極めていく過程はとても詳細で興味深かった一方、その問いの立て方の精密さに比べると、答えへ至る論証では飛躍やレイヤーの混線が見られるように思えた それでも、トートロジーに陥らない深度のある帰結を目指す探求は、とても面白かった
  • 2026年7月22日
    精神と自然
    精神と自然
    様々な学問分野をジャンル横断的に行き来をして、「精神とは何か」を探究することが本書の主題となっている しかし、物理学や生物学などの科学的な実験結果を精神構造の説明へと導入する際、共通するように見える事例の抽出が恣意的に感じられる部分も多く、また、論理を一段階押し上げるためにはある程度のランダム性が必要だという進化論的な考え方を理論にも導入しているけれど、直感的な飛躍が論理的妥当性を担保する保証があまりなく、その点の整合性については難しい問題だと感じました 第八章の父と娘の対話では、僕が抱いていた疑問が娘の口を通して提示され、それに父が応答していく構成になっていて、この本で重要なのは結論そのものではなく、新しい問いを立てること、学問分野を横断するラディカルな思考を試みること、そしてその整合性をいかに組み立てていくかというプロセスにあるのだと思いました 問いを立てること、いかに柔軟な思考を持つことの大切さを感じました
  • 2026年7月18日
    テレビジョン
    テレビジョン
    この本ではまずテレビというものの開発に至る経緯を、分散していた技術がいかにテレビというメディアとして統合されていくか、という技術的、物理的な背景から説明し、テレビというものは自然に発明されたものではなく、技術的・社会的条件の結合によって成立したものだと分析する その後も、テレビが何をしているか、を中心に語られる その中でも重要なのはフローという概念で、テレビとは番組本編、予告編、コマーシャル等を連続的に放送し、それらはひとつの連続したフローとして捉えることができ、且つ、そのひとつづきのフローとして我々も認識している つまり、文化的時代的背景を元に、ある文化固有の意味と価値が形作られていて、それが一件別々に見える本編やコマーシャルを全体として同じフローとなるように設計している つまりこの本はテレビ番組が人々に与えた文化的影響の分析ではなく、テレビを様々な角度から客観的に分析したものでフローというものが現在でもテレビから分化したジャンルで更に明確に、意図的に見えるようになっている為に未だ有効性のある概念であると思った ウィリアムズのテレビに対する未来予測も面白く、全てがその通りになっているとは言い難いが、ウィリアムズが予測していた概念はそのようにすすんで現在に至っていると思う
  • 2026年7月16日
    芸術の言語
    芸術の言語
    この本は文化的・社会的に芸術作品とは何かを解説している本ではなく、本来的に芸術作品そのものは何をしているのか、そしてそれを言語化するときに誤解を少なくするためにはどのように言葉を定義すべきか、ということが書かれている 第1、2章では、主に絵画における現実の模倣や再現、写実性という言葉のあやふやさを指摘し、指示や例示という概念によって整理する 第3章では、絵画に贋作があるにもかかわらず、音楽は楽譜をもとに様々な演奏があるにもかかわらずコピーや贋作とは言われない理由を、オートグラフィック/アログラフィックという分類をもとに考察する アログラフィックとは、記譜法などを通して第一次的な媒体から正しく実行されたものが作品となる二段階のプロセスを持つ芸術であるが、版画にも贋作が存在することから、贋作可能性をこの二分類だけでは説明できないことが分かる 第4、5章では、記譜法が記号論的にどのようなものであり、何が成立していれば記譜法として充足しているのかを考察する 第6章では、冒頭で論じられた芸術作品の言語化と、記譜法からの作品の現出が結び付けられ、芸術作品を感情表現として理解するだけでは十分な説明にならないことが示される しかし同時に、なぜ人は芸術を芸術として経験するのかという問題については、この分析だけでは十分に扱うことができず、未解決のまま残される しかし、主観的あるいは感情的な言及ではなく、客観的な出来事として芸術作品を語ることの価値は計り知れないし、その未解決の部分こそが芸術を芸術たらしめているのかもしれないとも思った 素晴らしい本でした またじっくり読んでみようと思います
  • 2026年7月12日
    逃走論
    逃走論
    基本的には、様々な雑誌に発表されたエッセイが収録されていて、前半には、パラノ(既存の環境や秩序を維持する方向へ向かうあり方)からスキゾ(固定化された場所や状態から逃走し続けるあり方)へという対比を軸に、スキゾ的な生き方を提示するエッセイがいくつか収録されている それらを読むと、単純に「自分の好きなように生きよ」「自由に生きよ」というライフスタイル論のようにも見えるけれど、その後のドゥルーズに関する対談を読むことでもう少し構造が見えてくる 構造とは固定されたものではなく、常に流動するものであり、その中にはパラノ的な運動とスキゾ的な運動の両方が含まれている ドゥルーズ自身はパラノ/スキゾを構造や欲望の分析概念として提示していたけれど、浅田彰はそれを生き方の問題へと再定義して、スキゾを強調することで構造の流動性を高めようとしていたのではないかと思った ただし、この思想は1984年という時代状況を強く反映しているように思われ、つまり高度経済成長を経てバブル期を迎える直前の日本では、逃走という態度が社会から完全に排除されず、ある程度成立する経済的余裕が存在していたのではないか その意味で80年代という時代における思想として読むべきものだと感じた また、マルクスに関する部分では、個々の人間や関係性を見ることの重要性、そして物事を流動的に捉える視点が、マルクスからドゥルーズへとつながっていくことを確認できた 最後には浅田彰による読書案内が収録されており、構造主義からその後の思想へ進むための文献が紹介されていて、この部分は思想史を体系的に読む上で有益だと思ったけれど、紹介されているものには浅田彰と同時代の日本の思想家の著作も多いため、そのあたりは慎重に選びながら読んでみたいです 全体的にとても面白いけれど、楽しく生きろ!というだけの表面的なメッセージとして誤読される可能性を感じつつ、この時代のニューアカの思想というものの一端を知ることのできる本だと思いました
  • 2026年7月9日
    青きドナウの乱痴気(24)
    1848年当時のウィーンを舞台に、3月から10月にかけてのウィーン革命を背景として、庶民の生活史・風俗史を描いていく歴史学の本 都市のエスノグラフィーを歴史資料から再構成したような作品と言えるかもしれない 専門的な言葉で書かれているわけではなく、当時の人々の服装や街の雰囲気が丁寧に描写されているため、その時代の生活をとても具体的に想像することができます 一方で、ウィーン革命そのものを分析する本ではなく、政治的・社会的な構造を論じるタイプの本はないため、1848年のウィーンの空気感や当時の人々の日常を知りたい人には、とても良い本だと思いました
  • 2026年7月7日
    グラフィティ
    久しぶりの再読 岡本啓は感情の動きをあまり書かない ほとんど出来事や行為が書かれてる それは、出来事と出来事、或いは行為と行為の間にあるプロセスが割愛されていて、その一瞬のズレがとても気持ちよく、意味や時間の跳躍の合間に、すっと感情が見えてまた消えていくような気がする 今回は「渚にて」という詩がとても印象に残った 浜辺にいる風景から想起される過去や時間の流れが綺麗だった
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