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@hon_i_read
読書の記録です SF、詩集、人文が多め でも何でも読みます
  • 2026年5月27日
    エチカ(倫理学)上(スピノザ)
    エチカ(倫理学)上(スピノザ)
    第1部で、神=自然=この世界全体、ということが提示され、第2部で人間は神の様態であり、その人間のかつ精神と身体の関係が提示される 第3部で、コナトゥスを原理とした感情の法則が示される まずスピノザが使う言葉の意味を誤解すると終始誤解し続けてしまうので注意深く読む必要があると思った 神の概念が全能性のある神ではなく自然そのもの、ということ、そして第3部等に現れる感情(喜び、悲しみ、欲望等)も日常的に使われる言葉の意味ではなく、現象としてコナトゥス(ありのままの状態を維持していこうとするということ)を考えなければいけない 例えば、喜びはコナトゥスの増大、悲しみは減少、というような極めて現象的なことで、それさえ間違わなければ大枠として全体を捉えることが出来るように思えた そして上巻で提示されたものが、どのように展開していくのか下巻を読んでいこうと思いました 今のところとても面白いです、難しいけれど
  • 2026年5月20日
    夜なのに夜みたい
    以前はそれなりに楽しめた岡野大嗣の歌集が今回はあまり楽しめなかった それは著者の作風が変わったというよりは僕の興味の対象がより硬質なものに移ったからだと思う その本を読むべきとき、というものを大切にしようと思った
  • 2026年5月18日
    彼方の幽霊
    日常生活を切り取りながら、街や出来事の位相を変えるように、変容させていく 流動的な流れと停滞し孤立した感覚に、生きる美しさと寂しさを見ているような気がした そこには、表面に見える出来事の奥から、最もらしい意味を見出そうとするような意図は感じられず、物事がただ表層のまま横滑りし、見え方が変わっていく この詩集から深い価値や意味を見出すというよりも、表層的で、同じレイヤーで見方を変えると言った方が良さそうだった 青春を扱っている詩が多いような気がしたけれど、そこには社会からの断絶や絶望、戦いというような攻撃性はほとんど無く、寂しさはあっても、どこか前に進むような強さがある とてもよい詩集だった 何度も読みたい
  • 2026年5月16日
    動きすぎてはいけない
    千葉雅也によるドゥルーズの解説と再解釈、そして有用性が書かれている ベルクソン的なひとつに接続された世界をもつドゥルーズとヒューム的な物事が切断された世界をもつドゥルーズの相反するふたつのドゥルーズに分け、統合させていく 非意味的に切断されている世界を非意味的に接続していくことが必要であり、しすぎてはいけないし、しなさすぎてもいけない つまり、動きすぎてはいけない、とはその中間をいくという意味で使われている 更に後半では、ライプニッツのモナドのように閉じられた系を真とするドゥルーズの理論が展開されていく ドゥルーズの理論を、閉じられた系としての物事を、過剰な意味接続をせず、しかし非意味的接続をしながら、リゾームを展開し、しかしそのリゾームもまた切断すべきものとして解釈する 物事を考える時に、とても有用で、意味に過度な必然性や接続を求めないことの良さを感じた
  • 2026年5月14日
    Röntgen、それは沈める植木鉢
    ひとつひとつの言葉は分かるのにひとたび言葉が連結されると意味を失っていく 全てが幻視のような世界で、誰かが目撃した情景を描写しているように思えるけれど、極端に心情をなぞる言葉が少なくて、たくさんの名詞が非接続的に並べられている為に意味は消え去っていく それにも関わらず、そこから見たことの無い、そして見ることのできない情景が、意味よりも先に立ち上がるような詩集だった 言葉がとにかく美しくて、素敵だった
  • 2026年5月11日
    四方対象
    四方対象
    まず、カント以降に強く指示されてきた相関主義へのカウンターとなる思弁的実在論を提唱する人々がいて、その中でハーマンは独自のオブジェクト指向存在論を提唱している 主張の内容としては観察によって存在するモノ/出来事の他に、観察からは独立しモノはモノとして観察されなくても存在する、ということを、フッサールやハイデガーの理論を組み合わせ、発展させていく モノ/出来事は実在的対象、実在的性質、感覚的対象、感覚的性質の四つを持ち、それによって我々の認識と認識されるモノとの関係が示されていく オブジェクト指向存在論の利点は、どんなモノ/出来事であろうと出来事であろうと同じ思考系で語ることが可能なことであり、そこに優劣は存在せず、ひとつの思考体系でミクロなものでもマクロなものでも説明が可能になる 観察外の物事でも独立して存在し続けている、というのはとても自然なことに思われるし、捉え方としてかなり明快で分かりやすいように思えた しかし、同時に、実在的対象・性質が触れえぬブラックボックスである、というところで精査を止めている為に知り得ぬものがそのまま放置されているように思え、決して知ることの出来ない対象と性質があることが論理のコアであり同時に弱点なのかもしれないと思った ただ、思弁的実在論はとても興味深いので、メイヤスーの理論も読んでみようと思います
  • 2026年5月7日
    モナドロジー 他二篇
    モナドロジー 他二篇
    「窓のないモナド」という抽象的で自律的なコアが描く、クリアな世界設計、或いは精神の肉体への影響 後半、神の全能性という「不可侵の領域」への言及が増えていくけれど、神を排してもモナド自体は稼働するように思われ、その強固なシステム論はルーマンにも通じ、とても理知的に思え、現代でも再評価される理由が分かる気がした 三編収録されているけれど、「モナドロジー」と「理性に基づく自然と恩寵の原理」はほぼ同じ内容で、もう一編の通称「新説」は、なぜモナドという抽象概念が必要なのか、モナドをコアとして置く必然性が語られている
  • 2026年5月6日
    ポー詩集
    ポー詩集
    1年ぶりの再読 ポーは「詩の真の目的」の中で、詩を「美の韻律的な創造」だと定義している つまり、ポーの詩にとってリズムやリフレインは相当な重要性を持っている しかし、日本語に訳したときに意味の抽出に重きが置かれ、リズムやリフレインが失われてしまっているものも多く、詩の翻訳の難しさを感じる 今度は原文でしっかり読もうと思いました
  • 2026年5月6日
    言語起源論
    言語起源論
    言語の起源について、言語発展の地理的相違、音楽における旋律と和声が担う役割について、という感じになっていて、最後に総論がある 言語の期限は情念を発する歌だったにも関わらず、それが近代化と共に歌や抑揚が失われてしまったことを憂いている、というのが全体像だと思うが、まとまりが見えづらく分かりにくい 更に、ルソーの主張には論拠があまりなく、これはその当時の権威であった教会が論拠にしていた土台を避けて同じ土俵にあがらないようにしているからではないか、と思うのだけれど、その為自分の推論や感覚を論拠にしているように一見みえる しかし「人間不平等起源論」でルソーが言う通り、「あらゆる事実はさておき、まず考察を始めることにしよう。……私たちがここで踏み出す調査は、歴史的真実ではなく、仮定的・条件的な推論と見なされるべきである」 つまりルソーが行いたいことは事実の確定では無く、ルソーの考える人間性の追求なのだと思う いや、しかし、ルソーを読み解くのは難しい けれども面白い
  • 2026年5月4日
    ルバイヤート
    ルバイヤート
    人はこの世に生まれてそして死んでいく 天国があるのかないのかそんなことは誰にも分からないのだから、今を生きていくしかない、ということが何度も書かれている 酒の歌が多いけれど、それは決して酒を賛美しているだけではなくて、確定しない未来を憂うよりも、過ぎた過去を嘆くよりも、今という瞬間を楽しむ為の道具として登場している ルバイヤートは4行詩のことで、この詩集の全ての詩がルバイヤートとして書かれていて、何か警句のようであり、生きる為の格言のようでもあり、読むタイミングによってはとても心に響くのだろうと思う また何年かして読み返したい
  • 2026年5月2日
    なんかでてるとてもでてる
    3回目か4回目の再読 「受難」の性の目覚めがとてもBL的で、とても美しいけれど、それだけではなく喪失や痛みを伴った暗さもあって、やはり美しい 表題作の「なんかでてる とてもでてる」は、何となくコミュニケーションもいうもので感じるような、相手からも自分からも、なんかでてる、感、が言葉としてこんなに柔らかく現れることに感動する そして「にゅーばらんす」は詩人の時里二郎が、詩人としてのマニュフェストだと評していたけれど、本当にそんな気がする ある一瞬に突然転機が訪れる、その瞬間を描いたように思える とにかく蜆シモーヌの詩は、言葉にならない感覚が平易な言葉で突然世界に現れたような衝撃をいつも感じる
  • 2026年5月1日
    自己言及性について
    自己言及性について
    ルーマンの主著『社会システム』以前の論文等が収録されている 表題作「自己言及性について」はシステム理論の骨子になっていて、社会システム理論理解の為に読むべきだと思う 芸術論等は、オートポイエーシス稼働の条件や、パラドックスの扱いに希望的観測があるように思えて、少し甘さもあるけれど、その後の『社会の~』シリーズでどのように完成されたのかを思うと、とても興味深かった とにかく素晴らしい本でした
  • 2026年4月22日
    構造と力
    構造と力
    構造主義を、レヴィ=ストロース、ラカン、ドゥルーズ=ガタリ等を元に分野横断的に語られ、構造主義のコアである象徴秩序を外部からのカオスによって脱構造化することが必要である、と言及される その問に対する答えは無く、ここから更に議論は発展していくのだろう 全体としては近代思想の要約が続き、カオスの重要性を説きながら、結果的にカオスは内包されてしまう程、構造主義が強固なものであるとわかった上で、それでも尚、脱構造化を目指す宣言のように思えた 今読んであたらしさがあるかというとそうでもないかもしれないが、時代背景を考えると、分野横断的で様々なものをひとつの理論に包括させようとする野蛮さと強靭さがとても印象的だった
  • 2026年4月21日
    そだつのをやめる
    この人の詩は、言葉を追うと主語と述語が乖離していて意味が消失するような気がするかもしれない しかしそこには言葉の元になった映像があって、それを追うように言葉を読んでいくと、そこには整合性のある映像とそれを説明する言葉が現れる 一見、離れ離れになっている言葉は丁寧に飛躍をしていて、その行間に美しい風景が広がっているように思った
  • 2026年4月20日
    傷だらけのカミーユ (文春文庫)
    傷だらけのカミーユ (文春文庫)
    三部作の三作目 三作目で一作目を回収したような雰囲気 面白かった
  • 2026年4月19日
    その女アレックス (文春文庫)
    その女アレックス (文春文庫)
    物語の冒頭から終わりまで、2転3転というよりも、終始景色が変わり続けていく、という印象だった そして、物語の本筋ではないけれど、カミーユの母の自画像を誰が買ったのかという謎に少し感動しました
  • 2026年4月17日
    悲しみのイレーヌ
    悲しみのイレーヌ
    怒涛のエンタメという感じで一気に読んだ 他作品をこの作品のコアなものとして使用するというアクロバティックなメタ構造が面白かった
  • 2026年4月16日
    小笠原鳥類 詩画集 『図鑑』
    絵を40個、描いて、それらの題名を決めて、そして、詩を40個、書きました。 とあとがきにある 見開き左側のページにかわいい絵があり、右側に、タイトルとして生物の名前があり、4行詩が書かれている 繋がりの見えない言葉 もはやタイトルのイメージが一行目から飛躍していて、行が進むごとにイメージはアップデートされていく ほとんど何も分からない、のに、とてもおかしいし幸せな気持ちになる素敵な詩画集だった
  • 2026年4月16日
    暮しの降霊
    暮しの降霊
    最新の第3詩集「懐炉」が素晴らしくて、ある種訪れなかった青春への憧れを告白しているような内的な詩集だと思ったので第2詩集「暮らしの降霊」を読む 第1詩集「零余子回報」よりは分かりやすさがあったが、引き続き、難解な言葉と破綻した文法で、意味が捉えられそうで捉えられない 時折合間に、前後の説明が無く、感覚だけが突然投げ出される 語られていることはとても些細で取るに足らない事柄で、それを大層難しく言って自ら嘲笑しているようなスノッブさを感じた 「懐炉」とはまた違う良さがあった
  • 2026年4月16日
    やがて魔女の森になる
    冒頭の詩「気がかりな舟」はダイヤモンドプリンセス号と思わしき船に乗り合わせた「わたし」の視点からまだ何とも分からないコロナ禍の始まりが、誰にもジャッジメントが出来ない曖昧さを保ったまま、否定的でも肯定的でも無く描かれている 他の詩も、現実から想起される思い出や過去、或いは捏造されたかもしれない思い出と記憶が、不確かな何かを、確かな手触りを持つ言葉で捕獲していくような強さと無謀さのある詩ばかりだった 川口晴美は散文詩がとても良いと以前から思っているのだけれどこの詩集では、「寝台」が一番印象的だった 眠れる森の美女(のような女性)がベッドから出られないまま森は開発され道路に寝台が放置され、そして夜毎に精神的、物理的陵辱を受ける少しエロティックな詩だけれど、閉ざされた空間と時間と意識が神話のように紡がれていた
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