
サカキ
@sakaki0825
2026年7月2日
新装版 海と毒薬
遠藤周作
読み終わった
また読みたい
オールタイムベスト
深い河に続き、遠藤周作2作目。
飽きのこない構成と過去の回想への入り方、登場人物の心理描写が洗練されていて、文章がするすると入ってくる。生体解剖という実際にあった史実を元にしたフィクションで、軽々しくは重いと言えないテーマ。
作中の戸田がこれまで行ってきた行為は卑怯・卑劣なもののように捉えられるけど、それを判断する自身の良心は果たして何によって形成されているものなのかを考えさせられる。戸田の言っていた「醜悪だと思うことと苦しむこととは別の問題だ」という考えにはぐうの音も出ない。解説を読んで、キリスト教と日本人の宗教観の違いが良心の不在につながっているとあって、とても腑に落ちた。
善悪の定義どうこうではなく、個々人の「良心とは何か」を問いかけてくる作品で、本当に読んで良かった。次は少し間を空けて、積んである"沈黙"を読もうと思う。
「だが眼の前を霜で鉛色に光った一本路が続いていた。」


