
イネイネ
@ah-ineine3
2026年7月3日
BUTTER
柚木麻子
読み終わった
借りてきた
コンプライアンスが叫ばれ、配慮が求められるようになった昨今だが体型や顔かたちの美醜については未だにシビアな日本。そんな日本発のこの小説が、海外で話題になるのもなるほど頷ける。主人公・町田里佳の彼氏・誠は恋人に家事や料理を求めないとしながらもボディメイクについては努力を怠るべきではないと口酸っぱく言い聞かせる。カジマナの意地悪な「注文」のせいとはいえ食べることが楽しくなって少しぽっちゃりした自分の身体を愛せるようにまでなっていた里佳が自分の体型は元に戻らないかも、と言えばあっさり別れを選んだ。里佳はそれでも自分を愛してくれると信じていたのに。
誠自身もストイックに体型管理をしているのならわからなくもないが、自分も中年太りで努力しているとは言い難い。自分ができないことを相手に求めるのは酷くない?と思ってしまった。
体型や美醜に言及することに全く躊躇無い男性たちの姿を見るとやっぱり時代のせいかイラッとしてしまう。記者という職業のズケズケと切り込む無遠慮さも手伝ってのことだろうか。
梶井真奈子は独占取材を取り付けようとする女性記者の里佳にかぐや姫のような難題を突きつけ、彼女との会話の中で一種の友情のようなものが芽生えかけていたというのに、手玉に取れそうな男の記者にあっさりと全てを話し、獄中結婚にまで至るほどの関係になってしまう。「彼女を何とも思っていなかった」と語る地元の同級生男子が「私に惚れていた」と断言していたこともあり自惚れが多い人ではあると思うのだが、男の喜ばせ方を熟知しているのだろう。里佳も言うように、独占取材は端から何をされたとしても受ける気はなかったのだろう。若くて美しく、生き生きと生活している自分とは違う女性に復讐したかっただけで、全部織り込み済み、そこまで計算していたのだとしたら。本当に恐ろしい毒婦だ。

