
ユメ
@yume_bookworm
2026年4月19日
デモクラシーのいろは
森絵都
読み終わった
心に残る一節
感想
第二次世界大戦後の日本で、GHQが民主主義を根付かせるための実験として4人の若い日本人女性を選んで行ったレッスン。その教師役を務めた日系アメリカ人リュウ・サクラギの視点から物語は進んでゆく。
美央子、孝子、吉乃、ヤエ、4名がレッスンに参加することになった動機も、レッスンに対する熱意も各々異なるが、そんな彼女たちが「民主主義とは何か」を学ぶ中で先の戦争とも向き合ってゆく姿勢に、私も改めて民主主義とは——と考える機会を与えてもらった。
印象深かったのは、日本が戦争へと突き進んでしまった理由を問われて、初めは「国や軍が誤った考えを広めたせい」と答えていた孝子が、「国や軍に騙された自分たち国民にも責任はある」と訂正するくだりだ。「だから、賢くなりたいんです。民主主義を勉強して、もうだまされんように、今度は大丈夫なように、大事なものをちゃんと守れるように……だもんで、だもんで、うち、一生懸命、勉強します」自らも戦争で家族を喪った彼女が必死に言い募る台詞に、胸を突かれた。
民主主義下では、主権者たる国民一人ひとりが政治について常にきちんと考え続ける必要がある。そういう意味では、民主主義とは、どれほど時間が経とうと成熟しきることはない、誤ちを繰り返さないためにはいつまでもアップデートし続けなければならないシステムなのかもしれない。
終盤で思いがけない展開を見せるストーリーも読み応えがある。このご時世だからこそいっそう胸に沁みたし、広く読まれてほしいと願わずにはいられない作品。



