
ぽかり
@popopocari
2026年7月3日
けんぐゎい
朝倉かすみ
読み終わった
読み進めていると、作中の男・宗三郎に対して、一瞬「光源氏か?」という錯覚を抱いた。完璧に整えられた表の皮。しかしその裏に隠されていたのは、光源氏を遥かに凌ぐほどの、底冷えするサイコパスだった。
人間は多面性を持つ生き物だが、宗三郎の表の皮はあまりにも厚すぎる。側から見たら好青年だろうよ。まあ、それゆえに怪しい。
帯に書かれた「歪んだ性癖」という言葉に覚悟はしていたが、彼が秘めていたのは、あまりにも自己愛たっぷりの、えぐいカースト制。時代小説としての男尊女卑や、当時の女性の生きづらさを踏まえても、彼の行動は一線を越えている。
特に、彼が放った「自分の血を残したくない」という理由。これは一見すると自己否定や謙虚さのようにも聞こえるが、実際はその真逆だ。
自分がこの世で何よりも一番大事だからこそ、自分の人生や今の快適さを邪魔する存在(子供)を徹底的に排除したいという、自分勝手な全能感の極みとしか思えない
あまりにも化け物じみている。宗三郎は、自分が下に見た「圏外」の人間たちを、最後に「くゎいぶつ」と吐き捨てた。しかし、私には宗三郎のほうこそが、血の通わない本物の怪物に見えた。
彼の身勝手な欲望の犠牲となり、底まで落とされたおふゆさんたち。宗三郎という怪物に踏みにじられた彼女たちが、これからどうか、生きやすい世の中でありますようにと、心から願わずにいられない。


