K.K. "ライ麦畑でつかまえて" 2026年7月4日

K.K.
@honnranu
2026年7月4日
ライ麦畑でつかまえて
ライ麦畑でつかまえて
ジェローム・デーヴィド・サリンジャー,
J.D.サリンジャー,
野崎孝
僕みたいにひどい嘘つきには、君も生まれてから会ったことがないだろう。すごいんだ。かりに雑誌を買いに行く途中なんかでさ、誰かに会って、どこへ行くんだってきかれるとするだろう。僕は、オペラへ行くって答えかねないんだな。ひでえもんだよ。p.28 それから僕は、ポケットに入れていた時刻表を読みだしたんだ。嘘をつくのをやめるためにね。僕はいったん嘘をつきだすと、その気になれば、なん時間でも続けられるんだ。嘘じゃないよ。なん時間でもなんだ。p.93 そのドレスを掛けながら僕は、なんだか悲しくなっちまったんだ。彼女がどっかの店に入っていってそのドレスを買うとこを思い浮かべたんだよ。店の者は誰も、彼女が売春婦だとかなんとか知りはしない。そのドレスを買う彼女を店員は普通の女と思ったろう。そう思うと僕は、ひどく悲しくなっちまったんだ──なぜだかよくわかんなきけどさ。p.150 「とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、そこで小さな子供たちが、みんなでなんかのゲームをしているとこが目に見えるんだよ。何千っていう子供たちがいるんだ。そしてあたりには誰もいない──誰もって大人はだよ──僕のほかにはね。で、僕はあぶない崖のふちに立ってるんだ。僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだ──つまり、子供たちは走ってるときにどこを通ってるかなんて見やしないだろう。そんなときに僕は、どっからか、さっととび出して行って、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。一日じゅう、それだけをやればいいんだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げてることは知ってるよ。でも、ほんとになりたいものといったら、それしかないね。馬鹿げてることは知ってるけどさ」p.269 子供たちはみんな例の金色の輪を掴もうとしてるんだ(金色の輪を掴まえると無料でもう一度乗れる)。フィービーもやっぱし同じことをやってたんで、僕は木馬から落ちやしないかと心配でなくもなかったけど、何も言わず、何もしないで、黙ってやらせておいた。子供ってものは、かりに金色の輪なら輪を掴もうとしたときには、それをやらせておくより仕方なくて、なんにも言っちゃいけないんだ。落ちるときには落ちるんだけど、なんか言っちゃいけないんだよ。p.328
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