てと "ピカソになれない私たち" 2026年7月5日

てと
@teto_zzz
2026年7月5日
ピカソになれない私たち
感想 面白かった。ものすごくくらってしまった。 美大生が自分の作品を作り上げるために、ひたすら自分と向き合う話。 登場人物の美大生がそれぞれ全く異なる境遇や価値観を持っていて、個性のある作品を作るために自分を深く見つめ直す姿を見て、共感できるところもあれば目を背けたくなる所もあり、こちらも自分とは何かを考えさせられる。 今の時代にはそぐわないハラスメント染みた先生の方針は理解はできなくはないけれど、肯定はできないなと思った。 確かに自分の奥底にある個性を探るためには、心の表面にあるフィルターを徹底的に叩き割った上で、自分の目を背けたい部分にも目を向けていく必要はあるとは感じる。 その過程で壊れてしまう人もいるんだろうという恐ろしさがある。 だからこそ、芸術家とはそこを超えた境地にたどり着いた人達なんだろうな。 解説でも触れられていたが、「ピカソになれない私たち」というタイトルは美大生たちがどれだけ奔走してもピカソのような天才になれないという気づきを得るという意味を込めているものなのかと読む前には考えていた。 でも読んだあとは見方が変わった。 誰しもがそれぞれの才能を持っていて、ピカソになる必要はないんだなと。 この話は美大生が芸術制作を通して深く自己と向き合い、ときには自分をさらけ出して同級生や先生、家族との対話を重ねることで自分を理解していく物語。 ただ、これは芸術に限った話ではなくて、自分を理解することは誰にとっても大切なことなんじゃないかなと感じた。 読みながら、じゃあ私はどうなんだろうと考えるきっかけを与えてくれた作品だった。
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