
てと
@teto_zzz
あまり本を読みません
文章をまとめるのが下手なので長文の感想をたれながしています
- 2026年8月22日
桜待つ、あの本屋で浅倉卓弥読み終わった感想 --------------------------- 面白かった。 話の流れは少し想像しやすいところもあったけれど、やっぱりこういう人の想いが巡る話は好き。 個人的に、最初の方の話が「親の死の話」→「認知症の話」と続いたので色々と考えさせられることが多かった。 そういうことを考えないといけないなと感じているので。 今のうちにやっておかないといけないことは多いなと思いつつ、案外どうとでもなるものだし、そんなもので崩れるほど人の記憶や想いというのはやわな物ではないなとも勇気づけられた感じがする。 >忘れることはたぶん、そんなに怖がらなくてもいいんです。記憶も言葉も、生成されたという事実は決して消えません。たとえばあなた自身があなたをきれいさっぱり忘れても、それであなたという存在がなかったことには絶対ならない。誰も耳にするものがいない場所でも、大樹は音を立てて倒れるんです。 良くない考えではあるけれど、人の記憶が失われた時にその存在も失われてしまうという考えを持っていて、そんな自分に喝を入れてくれるいいセリフだった。 作者の方は、本が大好きで人の持つ想像力の偉大さを信じているんだろうなと感じた。 僕も、本はその作品を通じて過去の作者と対話するものだと思っているから、近しいものを感じて嬉しい。 そして、想いを残すという観点では名前もそうなんだろう。 最後のシーンで娘に亡くなった母親と同じ名前(漢字と平仮名の違いはあれど)をつけているのが印象的だった。 名前として想いを継承していくことで、その人の証というものが残っていくんだろうなと。 今まで、名前に意味を込めすぎるのは良くないような気がするという考えを持っていたんだけれど、こういう形で残していくこともあるんだなと思ったりもした。 僕もこういう、綺麗な桜の木を眺めながら本が並んでボレロが流れる喫茶店行きたいなぁ。 宮沢賢治や星の王子さまは読んだことないからこれをいい機会として読もうと思います。 - 2026年8月7日
羊と鋼の森宮下奈都読み終わった感想 最高の本だった。 話の中に頻繁に出てくる比喩のおかげで、読んでいてずっと気持ちがいい。 この本を読んでいると想像の海に飛び込まされる感覚になって、心の波が二段階くらい落ち着く。 話の中でもあったけれど、確かにピアノの調律は無数にある中からひとつの音を定める作業で、それは空に並ぶ星からなる星座のようで、心の中に浮かぶ様々な感情を紡ぐ言葉と同じでもあるんだよな。 しかも音から印象を受ける人間は、それぞれがそれぞれで違う人生を生きていて、経験も価値観も全く違う。 だからこそそこに面白さがあるんだなと感じた。比喩も、ピアノも。 主人公の外村くんは自分の調律の才能を疑っていたけれど、そんなことはないよなと思いながら読んでた。 これだけ自分の中の感情や、音から情景を描写する力に長けている人に調律という仕事が向いていないわけないなと思う。 先輩の柳さんもいい人で、外村くんとの掛け合いに安心感が常にあるから読んでて心地よかった。 比喩が多いのは職業柄の気もする。 外村くんは「柳さんの話は比喩が多い」と言っていたけれど、正直こちらから見たら外村くんもそれ以上に多い。 そう感じるのは、外村くんと柳さんの歩んできた人生がそれだけ違うっていうことなんだろうか。 比喩はある事象を自分専用の言語に翻訳するものだと思うし、歩んできた道筋が違えば違うほどわからないものになるだろうから。 話の中に出てくる表現がどれも気持ち良すぎて、メモを取っていたが多くなりすぎてしまった。 一文だけ。 >だけど、調律の技術を言葉に換える作業は、流れていってしまう音楽をつなぎとめておくことだ。自分の身につけようとしている技術を、虫ピンで身体にひとつひとつ刺していくことだと思う。 今、僕もこうやって虫ピンを身体に刺してます。 - 2026年7月12日
モネの宝箱 あの日の睡蓮を探して一色さゆり読み終わった感想 ものすごくいい作品だった。 モネの「睡蓮」に魅せられた人が、その作品を鑑賞するための旅を縁のある人へ提供することで、自身が生きた証を残していく話。 序盤を読んでいる際に柳橋に抱いた印象はかなり利己的で高慢な人だったが、終盤になるにつれてかなり人の事を考えている人という風に変わった。 恐らくそれを変えたのは柳橋自身が「死」を悟った前後の変化によるものからなんだろう。 もちろん、過去にも思いやる面はあったんだろうが、それを表に出さずに生きてきたのかなと感じた。 そして「死」に直面した時に、残せるものは何かあるかと目を向けて、改めて今までの人生でそういう面を自覚したというか。 過去にモネの作品を観て、「よくわからないから時間を空けてまた観たい」と言っているシーンがあった。 そのわかるようになったのが「死」に直面した今だったのかな。 最終的に柳橋からは、自分の価値観を非常に大事にしていて、その上で相手の価値観も理解できる人という印象も受けた。 話の中で「一人じゃ手の届かない経験をさせてくれる貴重な友達」という心情描写があったが、そこが根底にありそう。 無理に相手に合わせるのではなく、お互いに価値観をぶつけ合える関係を大事にしているのかな。 一方でそれによって人と決別してしまう懸念が高まることも事実。 最後のシーンで、桐子が対話を重ねた結果として離婚を決意していたが、それもまた一つの必要な選択なんだろうか。 前作もそうだったが、絵画鑑賞は絵画を通じて自身との対話を深められるものなんだろうなと改めて思った。 それは絵や自身のことだけではなく対人関係にも通じていて、中でも↓の文章が印象に残っている。 > その人がどんな状況で、どんな気分なのかを想像する。よく知り合って、好きなところを見つける。三つの時間軸で考えてみる。 絵と同じで人にも描写されているものとされていないものがあるからこそ、一面のみに囚われないことを意識していきたい。 作品を通して、自分にとって「死」が身近になったときにどうしようかを考えるきっかけになった。 自分がこの世から去ることになってしまった時に残せるものはなんだろう。 近しい人が先に去ってしまう時に悔い無く旅立ってもらうためにはどうすればいいだろう。 モネの「睡蓮」はいくつか観たことがあって、特に好みというわけではなかったが、これを機にもう一度観てみたい。 また、作中で出てきた美術館は国立西洋美術館しか行ったことなかったので、他の美術館も行ってみよう。 - 2026年7月5日
ピカソになれない私たち一色さゆり読み終わった感想 面白かった。ものすごくくらってしまった。 美大生が自分の作品を作り上げるために、ひたすら自分と向き合う話。 登場人物の美大生がそれぞれ全く異なる境遇や価値観を持っていて、個性のある作品を作るために自分を深く見つめ直す姿を見て、共感できるところもあれば目を背けたくなる所もあり、こちらも自分とは何かを考えさせられる。 今の時代にはそぐわないハラスメント染みた先生の方針は理解はできなくはないけれど、肯定はできないなと思った。 確かに自分の奥底にある個性を探るためには、心の表面にあるフィルターを徹底的に叩き割った上で、自分の目を背けたい部分にも目を向けていく必要はあるとは感じる。 その過程で壊れてしまう人もいるんだろうという恐ろしさがある。 だからこそ、芸術家とはそこを超えた境地にたどり着いた人達なんだろうな。 解説でも触れられていたが、「ピカソになれない私たち」というタイトルは美大生たちがどれだけ奔走してもピカソのような天才になれないという気づきを得るという意味を込めているものなのかと読む前には考えていた。 でも読んだあとは見方が変わった。 誰しもがそれぞれの才能を持っていて、ピカソになる必要はないんだなと。 この話は美大生が芸術制作を通して深く自己と向き合い、ときには自分をさらけ出して同級生や先生、家族との対話を重ねることで自分を理解していく物語。 ただ、これは芸術に限った話ではなくて、自分を理解することは誰にとっても大切なことなんじゃないかなと感じた。 読みながら、じゃあ私はどうなんだろうと考えるきっかけを与えてくれた作品だった。 - 2026年6月27日
ユリイカの宝箱 アートの島と秘密の鍵一色さゆり読み終わった感想 めっちゃ良かった。 アートを鑑賞する自由な感性の大切さを感じさせてくれる話だった。 アート作品の感じ方に正解があるわけではないし、観る人の背景やその時の感情次第でいくらでも変わるものなんだなと改めて思った。 お話の中で登場する美術館がどれも実在する場所だから自分の足でいつか行ってみたい。 作者の方が美大出身みたいで、だからこその芸術作品に対しての解像度みたいな高さも感じられて良かった。 登場人物がいい人ばかりで穏やかに読み進められたのもいい。 こういうヒューマンドラマ系の作品は、自分の価値観の幅を広げてくれて好き。 次回作もあるみたいなので、そっちも読んでみよう。楽しみ。 - 2026年6月22日
今日もひとり、ディズニーランドでワクサカソウヘイ読み終わった感想 少し好みでは無かった。 ディズニーは一人でけっこう行くタイプなので、題材的に身近に感じる分、主人公の突飛な考えや行動に違和感を覚えてしまったのが理由としてあるかなとは思う。 ただ、ディズニーに行くからこその情景の想像しやすさや所々の比喩は面白くて良かった。 ラストも、ディズニーをただの現実逃避のための場所としてではなく、そこに行くことで得られた過去の思い出や新しい気づきに帰結していたのは個人的にも嬉しい。 - 2026年6月14日
文通 答えのない答え合わせスズキナオ,古賀及子読み終わった往復書簡というジャンルを初めて見て、惹かれて読んだ。 人の対話を覗いている感じが申し訳ないような、ただ、貴重な経験だった。 取り留めの無い日々の出来事から、急に深いところまでハンドルを切って話題が転換していく感じが会話の面白さを感じて良かった。 口頭での対話や対談では出せない、しばらく与えられた話題について考える時間があるからこそ、より自分の深い所から情報を持ってこれるのが手紙(正確にはメールだけど)の良さだなと。 ※今はネットの普及等ですぐやり取りができるようになったからこそ、こういう時間をかける良さも減ってるのは少し寂しい 日々の話題から入る分、そこにほんとに書いている人がいることを実感出来ることがまたいい(特に最後の野球の実況とか)。 個人的に、スズキナオさんに共感出来るところが多かった。 自分のコントロールできる範囲を超えてもたらされるものに惹かれるし、それを求めて外に出ることも多々ある。 なんとなく自分にそういう節あるな〜って思っていたことが、他の人にもあって言語化されているのが嬉しかった。 あと、なんとなくスズキナオさん側の返信速度が毎回遅かったのも、自分もこういうのは寝かせちゃうタイプだから親近感が凄かった。 色々な話題が出る度に自分も少し立ち止まって考えるきっかけをもらえたり、この対話の記録を読んで自分も他の人と対話したいなと思えるようないい記録だった。
読み込み中...