ユメ "謎のアジア納豆" 2026年5月31日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年5月31日
謎のアジア納豆
読書の醍醐味のひとつに、知らなかった世界の一端に触れられるということがある。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」がモットーのノンフィクション作家・高野秀行さんの著作は、まさしくそうした楽しみをもたらしてくれる。 本書を開くまで、私は寡聞にして納豆は日本固有の食べ物なのだとばかり思いこんでいた。ところが、実際は、高野さんが直接取材に赴いた土地だけでも、タイ、ミャンマー、ネパール、中国で納豆が食べられているというのだ。そして、日本では主に生の納豆をそのまま食べることが多いのに対し、これらの国々では納豆を加熱調理し調味料的な使い方をすることが多いというのだから、カルチャーショックだった。 前述のアジア諸国では、納豆が広く全土で愛好されているというわけではなく、辺境に暮らす民族が食べているのだというのも興味深い。アジア納豆の起源を追ううちに、西南シルクロードの壮大な歴史の流れに繋がってゆく仮説が立てられるくだりには、本当にワクワクした。知識が結びついて新たな世界が拓ける瞬間というのは、とにかく面白い。日本における正確な納豆の起源も分かっていないそうなのだが、古くは縄文時代から納豆が食べられていた可能性があるというから驚きだ。 そして、7月末には本書の続編とも呼べる『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた〈サピエンス納豆〉』が文庫化されるそうなので、そちらも楽しみにしている。
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