
あまぎ
@zfch8888
2025年3月27日

踊る熊たち
ヴィトルト・シャブウォフスキ,
芝田文乃
買った
P.15
自由は痛い。そしてこれからも痛みつづけるだろう。私たちはそれに対して、踊る熊たちよりも高い対価を支払う覚悟はあるだろうか?
P.111
我々の仕事に関する質問はまったく出ませんでした。何頭の熊を救うことができたか。それがいかに重要なことか、我々のおかげで世界的に有名になったベリツァの町にとっても、我々が野蛮な習慣から救ってやった熊たちにとっても。そんな話は一切なし。話題はひとつきりでした。熊がイチゴを食べている、ってことです。『うちの子はイチゴなんて食べてないぞ、買う余裕がないからな』人々は言いました。『なのに奴らは熊に何箱も投げ与えている』と。
P.113
うちの熊たちが暮らしている場所は見せかけの自由を与えられているにすぎない。これは我々の選択ではありません。我々としては喜んで彼らをここに一、二年とどめて、それから森に放し、あとは自力でやってくれと言いたいところですが。でも人生の大部分を囚われの身で過ごしてきた者に、野生でうまくやっていくチャンスはないのです。
人間と似てると思いませんか?
P.119
こうしたすべてにもかかわらず、
ほぼすべての熊たちが
いまでも
踊るのだ。
人間を目にするとーー後ろ足で立ち上がって上から左から右へと体を揺らしはじめる。まるで乞うかのようにーーかつてのようにーーパンを、飴を、一口のビールを、愛撫を、痛みからの解放を。もうずいぶん前からだれひとり彼らに与えていない痛みからの。
